私は社会保険労務士をしています。開業して7年ほどです。現在42歳。社会保険労務士って?って思われる方も多いかと思いますが、主に企業の社会保険(健康保険・厚生年金)・労働保険(雇用保険・労災保険)について、事業主の方に代わって手続きをしています。
イメージとしては税理士さん→税金関係・社会保険労務士→社会保険と労働保険 を任せてくださいねという感じです。
この他私はほとんどやっていませんが、個人の方の年金関係(老齢年金の他、障害年金や遺族年金等)をメインにされてる先生も多数いらっしゃいます。今回はそんな社労士の仕事の将来性とAIと言うテーマで現場からお話しします。
AIで社労士の仕事でなくなるものと生き残るものとは?
今の仕事、「社会保険労務士としての仕事」という意味ではなくなりません。AIがどこまで人の気持ちに寄り添った対応を出来るかにもよりますが、機械的なものであるとすればなくならないかと思います。
ただし社会保険労務士の仕事の中でも企業の届出作成については、減少すると思います。
今現在も書類作成については書き方を丁寧に説明している書籍は沢山ありますし、専門のウェブサイトなどもあります。行政機関に行けばさらに丁寧に教えてくれます。
そこまでであればまだ良いのですが、近年は電子申請も進んでおり、専用ソフトなどを使えば素人の方でも簡単に書類作成が出来るようになってきました。これは書類作成をメインにする士業の場合どの士業にも当てはまると思います。
税理士さんの分野なんかでも、仕訳知識が無い方でも今は会計ソフトの入力がしやすかったりしますよね。
今はまだ専用ソフトを利用してもよく分からないという方も沢山いますが、さらにそれをAIがサポートしてくれるなら社会保険労務士に依頼する必要はないと思います。
ここまでは社会保険労務士の仕事の中でも、書類作成に関するものについてだけです。
当然ですが、私たちの知識は書類作成だけではありません。
人事労務についてのご相談を受けたり、労働関係のトラブルのご相談を受けたり、個人の方が障害をもってしまった場合に詳しく状況を聞かなければ作成できない障害年金の仕事等もあります。
これらは相手が人であるがために、高いコミュニケーション能力も求められます。
「これからの人生に大きく作用するような相談をAIにしたい!会社の危機をAIに相談したい!」
と思うような世界になった時にはもう分かりませんが、心の通った温かみがAIに持てなければ、まだしばらく仕事は無くならないと思います。
社労士がAIでなくならないようにするためには?
書類作成などの仕事については、基本的にとって代わられるという前提でいた方がいいと思います。
その分代わられないコミュニケーション能力を必要とする仕事については、今まで以上に力を入れていくのがいいと思います。
士業は開業する場合には営業も必要となるのでコミュニケーション能力が高い人も多いのですが、同時に変わり者も多いので人と話すのは好きだけどコミュ力はない!というような方も少なくありません。
相手の方から聞き出す能力を身につける必要があると思います。コンサルタント的な仕事ができる社会保険労務士は実は今のところまだそんなに多く無い気がします。
私自身も書類作成が今までメインでしたので、労使紛争等についてももっと勉強する必要性を感じています。
簡単なアンケートに答えていけば作成できるような書類作成は機械がやってくれます。
この機械は社会保険労務士も使っています。今はまだ少ないけれど、社会保険や労働保険関係のソフトは一般企業向けにも販売されているので、利用されている企業も増えて来ていると感じています。
なのでそこを完全に捨てる必要はないけれど(実際、ソフトを使っていてもその意味を勘違いされる方が多いので、必ずしも素人の方の書類は正しくなかったりすることが多いです)、それに頼らないビジネスモデルを作らなければならないと思います。
今までは企業メインで仕事をしていた人たちも、個人の年金関係などにも目を向けるのがいいと思います。年金について専門家に相談に来る方達は、大きな不安を抱えている方がほとんどだと思います。
まずはしっかり話を聞いてあげるのが大切なので、年金についても新たに勉強を進めていくのもいいと思います。
AIが普及する中で社労士はどうやって生き残るのか?
AI社会になって良い部分は、面倒なことが楽になることだと思います。相手の手間を省いてあげる仕事は、AIに任せて楽をしよう!という素晴らしい社会なんだと思います。
それであれば、それには乗っかってしまった方がいいですよね。こ
でもより人間らしさを求められる仕事は、むしろAIではなく人に求められる仕事です。それは今まで以上に人と人との結びつきを大切にする社会…ってことならいいなぁと思います。
そうであってほしいです。
AI搭載のアンドロイドとの結婚が認められた!AIに人権が認められた!というような社会にまで発展したらちょっともう分からないのですが、そういう社会だとしても「心」が重要視されるような仕事や社会活動をしていくのがいいのかなぁと思います。
心についてはおそらくAIにとっても永遠のテーマになるような気がします。それは私たち社労士が絶対に忘れてはいけないことだと思います。
あとはAIを利用することでしょうか。AIがどんなに頭が良くても、質問力がなければ正しい答えが出ないと思います。
それにはやはりAIを上手に利用できるだけの知識がこれまで以上に求められるのではないでしょうか?それは高い専門性を持つということだと思います。
専門性を持つことでAIを使いこなし、一般の人では解決できないことを解決していく仕事の仕方は、世のため人のために仕事をしていくということかもしれません。
単純労働は奪われるなどと考えずに、任せて、自分じゃないとできないことをしていくのが大事なのではないでしょうか?
AI社会といっても、いわゆる人間と同じような脳を持っているわけではありません。
学習能力を持つことによってAIは飛躍的に進化していますが、それは何千何万何億のパターンからの選択だと思います。なのでパターンに無い選択を出来る人でいるのがいいのかもしれません。
今から将来に備えて情報収集だけは怠らないようにしないと、10年後はちょっと怖いですね!あなたは今どんな準備をしていますか?
あなたの業界の意見お待ちしています!