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英語通訳の仕事はAIでなくなるので、全く将来性がないという意見に反論を唱えたい

私は英語通訳として働いています。この業界でのキャリアは10年ほどで、現在40歳です。年収は700万円ほどです。今回私の経験を通じて英語通訳業界の将来性とAIの関わり方をリアルに書こうと思います。

今私が感じているこの業界の問題点は3つです。

  1. 英語に堪能な人が増えてきており、英語通訳の供給は過剰状態になっている英語以外の
  2. 訳に対する需要は増えているが、こちらは供給が追い付いていない通訳機械が発達し、
  3. 単な会話なら通訳を介さずとも行えるようになっている
目次

英語通訳の業界は供給過多で将来性がないのか?

通訳業界の現状はどの言語の通訳をするかによって若干異なります。英語通訳の業界では供給過多という印象が否めません。

充分な英語教育を受ける機会が広がり、英語を流暢に話すことができる人の数がかなり増えているというのが原因だと思います。

よって英語に堪能であるというだけで通訳として大成できるというわけではなくなってきています。

それでは通訳業界に将来性がないのかと言えば、そうではないと思います。

単に英語を巧みに操るだけでは不充分ですが、英語力に加えて高いコミュニケーション能力を持ち、特定の分野についての高度な知識を備えている通訳に対する需要は現在も多く、このような通訳はこれからも求められることになるでしょう。

AIの発達で英語翻訳の仕事がなくなるというのはあり得ない

AIの発達により消えていく職業について述べられるとき、必ずと言っていいほど通訳がランクインするのですが、私はこの点についても懐疑的です。AIが発達しようとも通訳という仕事は残ると私は考えています。

ほど述べたように通訳に必要な能力は単なる語学力ではありません。

語学力はあくまで前提条件であり、それに加えていかに高度なコミュニケーション能力を持っているかということが重要なのです。

ここで言うコミュニケーション能力とは、スピーカーの心の機微を読み取り、スピーカーが本当に伝えたいと思っていることを察して、それを適切に訳すことこそが求められるのです。

通訳の仕事は単に一つの言語を別の言語に置き直すことではないのです。

スピーカーの話している内容がリスナーにどう受け止められるかを感じ取る力も必要です。

スピーカーの言わんとすることをリスナーが最も受け取りやすい形で訳すことも通訳の重要な仕事です。

特にジョークの翻訳はAIでは難しい


たとえばスピーカーがジョークを言ったとします。何を面白いと思うかは生まれ育った文化的背景によって大きく変わるものです。

ですからスピーカーのジョークをそのまま訳してもリスナーに伝わらない場合は多いのです。ジョークを直訳的に訳してもリスナーには伝わらず、笑いが全く起きない場合があります。

リスナーは取り残された気分になり、スピーカーはジョークが受けなかったことでもやもやとした気分になります。

そんな場合はあえてジョークを直訳せずに、「ただいまスピーカーは冗談をおっしゃいました。あまり面白くはありませんでしたが、どうぞ皆さん、笑って差し上げてください」などと言ってみたりすることがあります。

するとリスナーのみなさんにはスピーカーが冗談を言ったのだという事実が伝わり、お付き合いだとしても笑って下さる。

笑いが起こったことでスピーカーは満足するということになります。

このような機転が利くかどうかも通訳の大事な能力です。このようなスキルをAIに期待できるかと言えば、現状では難しいのではないかと私は思います。それゆえにAIが通訳の仕事に完全に取って代わることは難しいと私は思うのです。

単に語学に堪能なだけの通訳に対するニーズは、これからは伸び悩むと思います。しかし高度なコミュニケーション能力を持つ通訳に対する需要はこれからも伸び続けると私は考えています。

待遇面でも質の良い通訳は優遇されるでしょう。

実際に私自身、一度目の依頼でしっかりとした仕事をした後は、次の回から提示される給料が右肩上がりという経験を何度もしています。

どの業種においてもそうだと思いますが、質の高い仕事をしていれば需要の面でも待遇の面でも、充分な将来性があると思います。

AIに通訳の仕事が奪われない様にすべきこととは?

就職や転職で通訳を目指す人は、まずもって語学力を鍛えなければなりません。これは通訳の業界で活躍するための前提条件です。

通訳案内士になる以外は特定の資格は必要ありませんが、語学力の目安として英検やTOEICに挑戦することは悪いことではないと思います。

しかしそれ以上に大事なのは、スピーカーの心を察し、リスナーの反応を感じる力です。

このようなコミュニケーション能力は日常生活の中の不断の努力を通じて獲得されるものです。常に人の話を傾聴すること、相手の反応を見ながら話すことを心がける必要があります。

もう一つ大切なことがあります。それは通訳は単なる言葉の仲介者ではないということです。

語学力、コミュニケーション能力に加えて、通訳する分野に関する一定の知識が必要とされます。

例えば金融関係のセミナーなどで通訳をする場合、金融経済や投資について全く知識がない通訳者では手も足も出ないでしょう。

その分野について一定の知識を持っていることが不可欠です。

一般にキャリアの長い通訳者ほど得意とする分野が決まってくるものです。

そしてその分野について、専門家も顔負けの深い知識を持っている人も多いのです。

駆け出しのころはどんな分野の通訳でも、経験を積む気持ちでぶつかっていくことも大事ですが、将来的にはどの分野の通訳をやりたいのか、早いうちから考えておくことが必要です。

そしてその分野についての知識や見識を磨いておくことを忘れてはいけません。

できれば得意とする分野は一つではない方がいいと思います。複数の得意分野があればその分仕事の幅も広がりますし、依頼件数も増えていくことでしょう。

また複数の分野の知識が有機的に結びつくことで、より高度な通訳を行うことができます。

語学力、コミュニケーション能力、専門知識の三点についての研鑽を怠りなく行えば、AIに取って代わられることのない付加価値の高い通訳として活躍できると思います。

みなさんは将来に備えて何かの準備をしていますか?

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あなたの業界の意見お待ちしています!

コメント一覧 (2件)

  • 英語通訳の仕事は減るというのが私の見解です。
    何故なら通訳を入れるとコストがかかるから。

    前提としてIT業界だけに関わらず世界的な寡占化の流れはいずれ普通になっていくでしょう。GAFAと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleに勝てる企業が居ない様にますます競争がなくなっていけば更なる利益の拡大のため人件費のコストを減らすという選択肢もより取りやすくなります。

    従って通訳ツールを自作したり社員への外国語教育を行い、外部に頼らないで済む仕組みを整えていく可能性が高いとみています。現に客先常駐エンジニアが単純作業のみをさせられているところを見ると通訳の仕事も付加価値の高いしごとは自社の社員にやらせ、単純な翻訳のみを外注することを行うと見られます。

    • 貴重なご意見ありがとうございます。社内で翻訳ツールや、専門職を育成するとなると外部のプロは大変そうですね。単に翻訳するだけではなく複数会社の通訳や翻訳をして得た経験を活かしたアドバイザー的な役割がこれから求められるのかもしれませんね。

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