私は広告業界で、デザインを生業としています。転職はした事がなく、今の会社に28年勤務しています。私の年齢は48歳で子供は二人います。
どの業界もそうだと思いますが、28年前と今では、ここまで変わるかと言うぐらい激変しました。28年前はアナログとデジタルの融合と言う言葉が、よく業界内を飛び交っていました。
今はデジタルから派生していく形がスタンダードになりつつあります。昔はとにかく品質でした。
仕事も分業化でしたが、今は品質は勿論ですが、スピードが要求されます。スピードが要求されれば、何かが失われてしまうと言う思いを抱きながら、今は目の前の仕事と向き合っています。
年収は10年前の業界不況、社会不況が重なり、給料もダウン状態で、10年前と変わらない490万円です。
広告や印刷業界がAI導入でどう変わっていくのか?
今の仕事の将来性はと言われれば、業界全体で考えれば、厳しい将来になると思います。
ただ、それぞれの会社が環境にいち早く順応して、変化を恐れずに小回りが出来る会社は生き残ると思っています。
私の広告業界においては、ワークフローを川に例えると、川下である出力、印刷側は、24時間営業も多いのが実情です。
と言うのも、大体、夕方から夜に出力、印刷を依頼する形が多いので、朝、出来上がりを上げる為には、夜間での残業をしなければなりません。
でも、もしAIが機能すれば、深夜作業はAIに任せて、朝、昼は人が作業すると言う分業のスタイルが出来るかも知れません。
また、文字校正なんて言うのも、AIの方が人間よりも、きっと正確なのだと思います。この文字校正は、一昔前は文字校正だけの部門がありました。
しかし、人材も減り、どこの会社も兼任、兼任で、一番大切な文字校正が疎かになっている事は否めません。
きっと、この先、何十年先もこの文字校正と言うのは、変わらない課題として付きまとって行くと思います。
この部分こそ、AIにやって頂くと、大分、作業効率は変わっていくと思います。
印刷に関しては、良い意味で色ぬうるさいクライアント様が多いので、この微調整と言う部分においては、AIでは補いきれない部分なのだと思います。
そして川上である、デザインや企画、提案の部分においては、やはり、AIには任せられないと思います。
招待状であったり、喪中のはがきなどの決まった形のデザインであれば、AIに任せられると思うのですが、
毎回のデザイン作業に関しては、企画、コンセプトを元にした人それぞれのイメージが大切になって来るので、プレゼン力も含めて、イメージを生業とする職業は、AIよりニーズがあるかと思います。
広告業でもAIの限界を探せば生き残れる道はある
広告業界で生き残るコツは、提案力、イメージ力の強化だと思います。
もし、この部分に対して、AIが対抗するとしたら、沢山の提案とイメージの事例をとてつもない数をAIに記憶させて、こういったコンセプトでとAIに命令すると、膨大な事例のライブラリから、瞬時に答えをはじき出して、形にしていくのかなと想像します。
そんなAIに対抗するのは、提案力、イメージ力の強化プラス微調整のスキルアップです。
最初の作業は、正直、スピードで負けるかも知れません。でも、このデザインの仕事と言うのは、最初に出来たものが、そのままオールOKで終わる事は100%ありません。
クライアントからの直しが必ず入ります。もっと言わせて頂ければ、全面やり直しと言う事も多々あります。色の微調整もあります。
何もない所から構築していく速さは負けるかも知れませんが、アフターの部分で、微調整して、微調整して、クライアントのイメージに近づけていく地道な作業は、やはり人間にしか出来ないのではないのかなと思っています。
でも、そのスキルも数回やって身につくものではありません。相手が求めるものを知る為に、コミュニケーションをとって、作り上げてく、ダメだしされる。
でも、また作る。そういった高い意識を持って、場数を踏んでいく中に、俯瞰で見れる能力を身につけられると思います。
また、未完成なものを限りなく理想の完成形へ近づける為の知恵やアイデアと言うのも、人間だからこその発想だと思います。
そのやり取りは、情と言う感情も生まれてきます。
その領域にこそが、AIとしての限界なのだろうと思っています。
川上は人間が行い、川下はAIにと言う一つの流れをつくり、あくまでAIは道具と認識する事で、うまく利用できるのではないのかなと思っています。
広告業界にいながらAIとどう向き合うのか考えてみた
私は40代後半なので、アナログが7割。デジタルが3割と言う状況の中で就職しました。そして汎用機がまさかパソコンにとって代わるとは、夢にも思っていませんでした。
私は意外と早い段階で、デジタルの怖さや危機感を感じていたので、AIの脅威に関しては意外と楽観していました。
でも、何もしなければ、AIに浸食されるのは間違いありません。
それはAIが迫って来ると言うよりも、少子高齢化で、働く人口もどんどん減っていき、残業がなくなっていく流れの中で、高給よりも休みが多い会社の方が良いと言う若者も増えてきてと、私の頃の価値観は今や全然通用しません。
働く人がいなくなれば、そのいない場所をどうにかしなければ行けないとなれば、必然的にAIに頼ると言う流れは自然です。
今はスマホも云わば、AI見たいなものです。VRもまた同様です。要はこのツールに依存してしまうのか、一つの道具ととらえていくのか?
ここがこれからのこの時代を快適に過ごすキーワードが隠されているのかなと思っています。スマホもVRもAIも、所詮は人間の道具なんだと、まずは、認識していく事が大事だと思います。
そして、まずは便利な道具だなとAIを受け入れて、そこから、このAIを道具として、どう活用していくかをイメージして、考えていくと言う事が大切です。
例えば、車の運転が苦手な人は、運転をAIにお願いすればいいですし、運転が得意な人は、自分で運転して、細かな情報提供のみ、AIに任せれば良いと思っています。
要は便利だからと言ってAI依存しない事。依存しない為に人に関わっていく事が大切だと思っています。
充実感と言うのは、悩み苦しんだ人が、そこを乗り越えて味わえる醍醐味です。便利からは何も学べません。
その部分を自覚していれば、AIを効果的に使える事が出来ると思っています。
何にせよ、これから5年間の変化はきついと思います。オリンピック後に景気が激減して仕事がなくなるかもしれません。
みなさんは何かの対策をしていますか?
あなたの業界の意見お待ちしています!