私は法律事務所で弁護士秘書として約二年の間、働いています。現在の年齢は40歳で年収はだいたい240万前後だと思います。大学では法学部だったため、周囲の友人にも法律業界で働く人が少なくありません。
法律業界ではロースクール制度ができたことなどにより、弁護士の数が以前よりも増え、法律事務所間の競争が激しくなったといわれています。
週刊誌で「勝ち組弁護士、負け組弁護士」特集が組まれることもあり、弁護士も戦略をもたなければ生き残れない時代なのかもしれません。
また、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等、士業の間でもクライアントの奪い合いが激化しているといわれています。
法律業界は、今まさに変化の波にさらされているのかもしれません。
弁護士秘書の仕事の将来性を現場か考えると?
私の仕事は弁護士秘書で弁護士の仕事を陰ながらサポートするのが仕事です。私はこの仕事を好きで続けていますが、将来性の面から考えると、もっと若い人にはおすすめしないと思います。
弁護士秘書の仕事には、来客応対・電話応対、書類の修正など、一般事務のような側面も含まれています。
人材業界の分析によると、一般事務の仕事はIT化等により、以前に比べて大幅に減っているのだそうです。
そういったことを考えると、AIの登場以前にIT化により仕事が減っているといえるかもしれません。
また、海外にある大手法律事務所が、「案件のリサーチにAIを導入している」というニュース記事を読んだことがあります。
大手の法律事務所では、アソシエイトやパラリーガルが何時間も残業してリサーチの仕事をするのがふつうです。
「どのような点が争点か」「どんな類似の判例があるのか」「どのようなポイントを突けば、勝訴できるのか」といったことをリサーチするのです。
このようなリサーチには膨大な人員と時間がかかってしまうのですが、これこそがAIの得意とする仕事です。
実際、海外のAIは膨大な量のデータを分析し、「どの判事がどのような判例を出しているのか」等を学習しているようです。
これらのAIがもっと実用段階にまで進めば、大手法律事務所はAIを積極活用すると思います。
そうなると、事務所にはパートナーのみが残り、アソシエイトやパラリーガルは解雇されてしまうかもしれません。
弁護士秘書の仕事は、勤めている法律事務所によって、内容がそれぞれ違っていると思います。
どちらかといえば、パラリーガルというより秘書としてキャリアアップしたい人もいます。
しかし、パラリーガルとして法律の知識を深めたい人もおり、そのような人にとってAIの登場は悩ましいかもしれません。
弁護士秘書に今後必要なスキルとは?
「今の仕事がAIにとって代わられないようにすべきことは何か?」というのは難しい問いだと思います。
私自身、AIや将来の技術に関してとても興味をもっていることもあり、いろいろな未来予測の本や記事などを読みました。
やはり、AIが登場して活躍していく、という動きは大きな流れとして存在し、それに抵抗することはできないと思います。そういったこともあり、私は法律の勉強を前のように熱心に続ける意欲をなくしてしまいました。
今の仕事がAIにとって代わられないようにすべきことは、矛盾するようですが、AIを受け入れることだと思います。
将来的には、AIが効率的にリサーチなどの仕事をしてくれるのであれば、その技術をいち早く知ることが大切なのではないでしょうか?
おそらく、そのような技術については、法律業界の人にもクライアントにもまだまだ認知度が低いと思います。
もし、そのような技術に関心をもち、使いこなすことに積極的になれば、他の人より一歩前に出ることができるはずです。
また、人間的な魅力を高めて、クライアントの不安を軽くできるようになるのも目標です。「法律」というものについては、「わかりにくい」「なじみがない」と思われているクライアントの方も多くいらっしゃいます。
さらに、ロボットやAIなどの先端技術に関しては、便利だけれど、どう受け入れてよいのかわからない人も増えるでしょう。
将来的には、ロボット専門家の仕事が生まれると言われており、技術を一般の人にもわかりやすく説明するニーズは今後もいっそう高まるはずです。
法律業界という少し特殊な業界において、AIが導入されたとしても、一般のクライアントには不安があるかもしれません。
そのような不安を減らし、技術と法律をわかりやすく伝える役割が求められていると思います。
弁護士秘書としての法律業界の将来を考えてみた
そもそも、昔から法律業界においては、キャリアに悩む人が多いのではないかと思います。弁護士というのは、超難関の司法試験を突破した人しかなれない、高度に専門的な職業です。
法律業界で働く人の中には、「以前は弁護士を目指していた」「働きながら勉強を続けている」という方が多くいらっしゃったと思います。
昔の司法試験制度の頃には「一生をかけて司法試験の勉強をする」という人もおり、もはや生き方の問題になっていました。
「仕事を続けながら司法試験の勉強をし続けた人」がついには合格できなかったとしても、その人は不幸ではないかもしれません。
AIという超効率的なものに対し、法律の勉強は地道で退屈なものです。法律の勉強を経験した人ならわかると思いますが、そこまで簡単に知識は身に着きません。
また、何事もそうですが、ある程度継続して勉強してみないと、その面白さはわからないと思います。
そのため、現在法律業界にいる人に対しては「法律の勉強をやめたらいい」とまでは思いません。
たとえば、企業の法務部には、ある程度のレベル以上でないと採用もしてもらえないと思います。法律業界でキャリアを積みたい方には、やはり昔ながらの地道な勉強が必要かもしれません。
ただ、私のように「どうにも法律の勉強への意欲がそがれてしまった」という人もいるのではないでしょうか?
そのような人は、AIの到来に備えて、AIの技術に積極的に関心をもったり、AIと法律の融合について考えるとよいと思います。
そのようなことを考えると、世の中の動きを俯瞰して眺められるようになり、将来に向けて希望が持てるのではないでしょうか?
自分も大きな流れの一部だと思えば、それに逆らおうとするのはやめて、うまく波に乗れるのかもしれません。
どんな仕事でも100%将来が保証されるなんていうものはないものです。私もパラレルキャリアを目指していこうかと思っています。
あなたの業界の意見お待ちしています!