スーパーの衣料・寝具・ギフトなどの売り場のレジチェッカーをしています。入社してまだ4ヶ月で、研修が終わって1ヶ月です。
レジチェッカーの仕事を始めたのは56歳になってからで、採用の面接時に人事担当者から「レジでもいいですか?」と尋ねられ、「はい」と返事をして、入社後に11時間のレジ訓練を受けました。
時給765円で、月に95時間働いています。
小売業は、経営面では効率化、利用客に対してはハートフルであることを目指して、日々頑張っています。レジチェッカーとして働いていて感じる問題点は次の3つです。
【 レジチェッカーが抱える問題点 】
- 薄利多売にならざるを得ないため、特価企画が多すぎること
- 売り場作りに社員は追われていて、売価変更が十分に点検されていないこと
- 売価変更がきちんとレジチェッカーに伝えられていないこと
レジの仕事の将来は?AI自動化でリストラされるのか?
私が勤めている会社では、まだリストラは行われていません。逆に、定年を65歳から70歳に延長しました。2019年9月から定年が70歳になります。
地方中級都市というよりもちょっとだけ小規模な自治体に店舗があるため、利用客は60歳以上が4割近くを占めます。
利用客で若年層に該当する30代は1割強くらいです。
利用客が高齢化しているため、キャッシュレス化を推進しようとしても、なかなか難しく、現金払いで世間話を合間にするという買い物形態を好む客が少なくありません。
そうした現状からか、中高年で同じ感覚で話ができる店員が好まれます。
タオルやパジャマを購入する際に、入院している家族や介護をしている家族の話を店員が聞き、共感を込めたアドバイスをするのを非常に喜びます。
共感や傾聴は相手が人間であることに大きな意味を持ちます。
どんなに上手に受け答えを機械がしても、十分には満足できないものです。
レジチェッカーに介護歴があると知っただけで、気がほぐれるお客様もおいでです。
人間同士だからこそ成り立つコミュニケーションが、「買い物」を商品購入の機会以上にします。現在、商品を手に入れることだけなら、ネット通販で十分です。
田舎でも、ネット通販で商品を手に入れることはできます。
交通の便が悪い地方ほど、逆に自分で店舗に足を運ばなくて済むネット通販が盛んなのかもしれません。
そんな現在、わざわざ店舗に足を運ぶ意味は、店員とのコミュニケーションにあると言っても過言はないでしょう。
店員がお客様の気をほぐし、購買意欲をかきたてる話ができることで、「買い物」は楽しいものになります。そうしたコミュニケーションができる店員は、リストラの対象になりにくいと感じます。
リストラはないがレジの仕事はAIに奪われる可能性はあるが・・
現在のところ、私が勤めている会社では効率化のためのリストラを行なっていません。しかし、リストラが行われるとしたら、レジチェッカーは対象になりうると思います。
売価変更や割引といった操作は機械的で、機械に正確に入力しさえすれば機械の方が間違いが起こる事が無く、しかもスピーディです。
現在、人間がレジチェックをしているために起こりうるミスは、機械にさせればゼロになります。
ただし、それは入力が正確に行われているというのが前提になります。売価変更や割引を入力するのが人間ならば、やはりミスは生じます。
そして、レジチェッカーならば、「これが売価変更されていないのは不自然ではないのか!?」と疑問に感じて確認を取るところも、確認がなされない可能性があります。
レジチェッカーがリストラの対象となるかならないかは、予見能力によるものと言えます。
売り場担当の店員がミスした可能性を察知して、そのミスをカバーできるようなら、レジチェッカーはリストラ対象にならないでしょう。
小売業は効率化を迫られており、効率化できるとしたらまずはレジになります。
すでにレジの無人化に踏み切っている会社も出てきました。将来もレジチェッカーが生き残るとしたら、売り場との連携で売り場のミスをカバーできる人材でしょう。
レジ打ちの仕事がAIに奪われないために必要なこと
レジの仕事がAIによるリストラに合わないために、まず実行しているのは、売り場のことを知る努力です。それがミスを減らすことに直結します。
レジは、お金を扱うため、クレームのつきやすいところです。利用客が不満を感じるとしたら、まずはレジです。売り場に対する不満は、レジの次になります。
ミスを減らす事が、まずはクレームを減らします。
クレームがつかないようにする事が、リストラの対象にならない第一歩です。
レジのミスは、レジチェッカー自身のミスと、売価変更の手違いといった売り場のミスの両方があります。
レジチェッカーの操作にミスがなくても、売り場のミスを察知できなければ、利用客にとってはレジチェッカーのミスと理解されます。
売り場のミスをカバーする事が、熟練のレジチェッカーならば可能です。
それが今の仕事でAIリストラにあわないために、最初に必要な事だと考えます。
次に大切なのが、利用客との人間的な意思の疎通です。
共感と傾聴が実践できるレジチェッカーになる事が、AIリストラにあわない第二の手段です。
長時間を費やす事が不可能な状態なので、長くても2分くらいの間に、利用客にほぐれてもらえるような相づちをうてる事が大切です。
「買い物にやってきて良かった」と、レジの前を離れる時に思ってもらえる事が、最終的に会社の利益を生みます。
足を店舗に運んで買い物をしようという人を増やす事が、小売業を生き残らせる方策です。
小売業のレジチェッカーが生き残るには、売り場のミスをカバーして、利用客に「買い物に来て楽しくなれた」「気がほぐれた」「外出して良かった」などと感じてもらう事が大切です。
そのために、私は自分の介護経験を生かして、介護に必要な品物を買いに来られたお客様には、先回りしたサービスを心がけています。
介護の知識こそ小売りが生き残るために必須の知識
私がレジの仕事をこの年で任されるようになってから考えているのは、今後の生き方です。
多くの人が介護問題を抱える超高齢化社会の中、どうやって小売りの販売員が生き残っていくかです。
後10年で日本は超高齢化社会に突入します。
65歳以上の高齢者は、仮に自分が元気でも、家族には介護を必要としている人がいると考えられます。
介護に関する資格や知識は、直接福祉業界にとどまらず小売業界にも役に立つと思っています。
介護をしている家族がどんなことに困っていたり、どんな悩みを抱えているかは、小売業の店員として役に立ちます。
商品のアドバイスに関してもやっぱりAIだけで高齢者の好みを全て捕まえるのが難しいのではないかと思います。
私は「認知症と人と家族の会」にできる限り行くようにしています。これは誰でも参加が可能です。
認知症の家族を介護する際に、どんな生活を送り、どんな物が必要になるのかなどに関する、忌憚ない意見が聞けます。
「認知症ライフパートナー」の資格を取得するのも役に立ちます。これは買い物客のニーズを的確に把握するために役立ちます。
認知症の初期段階は、診断が下りていないことも多く、家族も試行錯誤している時期なので、傾聴を望んでいます。
AIの冷たい判断ではこの辺が難しいのだと思います。
また、AIが発達して高齢者がリストラに悩む時代になれば、生き残っている社員は、ストレスが半端でなく大きいので、自分や同僚、部下の心の健康管理が非常に大切になります。
「メンタルヘルスマネジメント」の資格を取得しておくと、メンタル疾患にかかるリスクを減らす事ができます。
メンタル疾患にかかると、完治は望めません。
薬を服用しながら、自分をコントロールできる状態を維持するのが最善の方法になってしまいます。
そうした状態を回避するために、「メンタルヘルスマネジメント」は有効です。
小売業はAI時代になっても、生き残る業界だと思います。
「買い物」が好きな人は多いからです。
商品を手に入れるだけでなく、新しい品物を生活に取り入れる際のワクワク感、自宅から出た開放感、家族や友達と違う「店員」という立ち位置の人間だからこそ出来る会話など、買い物にトキメキを求めるのが人間です。
そうしたプラスのエネルギーを短時間で与えるのが、AI時代になってもリストラされない小売業の店員です。
私は一回のスーパーのレジ打ちですが、本当に日本の将来を心配しています。
何歳まで働けるかどうかは分かりませんが・・・。自分の仕事と家族を守るためにも、今からやっておくべきことは多いでしょう。
あなたの業界の意見お待ちしています!