「IT業界って、結局どういう仕組みで動いているの?」そう思って検索した方、多いと思います。ニュースで「DX」や「SIer」という言葉は聞くけれど、いざ自分のキャリアや就活に当てはめようとすると、全体像がぼやけて見えませんか?実はこの「ぼやけた感じ」こそが、多くの若手社会人や就活生を不安にさせている正体なんです。
この記事では、IT業界の商流をバリューチェーンという視点で整理しました。
私は「就活や実務で迷わない」視点でまとめます。
IT業界の中のバリューチェーンとは?基本概念と重要性

IT業界でよく耳にする「バリューチェーン」という言葉。
直訳すると「価値の連鎖」ですが、これって要するに「誰がどうやって価値を作り、誰からお金をもらっているか」という流れのことなんです。
まずは、この基本をしっかり押さえておきましょう。
正直、言葉の定義だけを覚えてもあまり意味はありません。
大事なのは、その流れの中で「自分はどこに立ちたいか」をイメージすること。IT業界の仕組みは、思っているよりもずっとシンプルで、かつ泥臭い部分もあるんです。
まずは、なぜ今この知識が求められているのかを見ていきましょう。
バリューチェーン(価値連鎖)の定義とIT業界での意味
バリューチェーンとは、一つの製品やサービスが顧客に届くまでの工程を、価値の積み上げとして捉える考え方です。
IT業界で言えば、ただプログラムを書くだけが仕事ではありません。顧客の悩みを聞き、解決策を考え、形にし、それを使い続けてもらう。
この一連の流れすべてがバリューチェーンです。
- 企画・コンサル
- 設計・開発
- 運用・保守
- 販売・営業
この4つの要素が組み合わさって、ITビジネスは成立しています。
どの工程が欠けても、顧客に満足な価値を届けることはできません。特に最近は、開発して終わりではなく「使い続けてもらうこと」の価値がすごく高まっているんです。
なぜ新人や就活生が「商流の全体像」を理解すべきなのか
「目の前のタスクをこなすだけで精一杯」という新人の方は多いですよね。
でも、商流を知らないまま仕事を続けるのは、地図を持たずに迷路を歩くようなものです。自分が作ったプログラムが誰に届き、どこで利益を生んでいるのか。
それが分かると、仕事の優先順位が自然と見えてきます。
たとえば、日曜の夜に「明日の仕事、気が重いな」と感じる瞬間。自分の仕事が誰の役に立っているか実感できないと、モチベーションを保つのは難しいですよね。
商流を理解すれば、自分のコードが巡り巡って誰かの生活を便利にしていることが、手触り感を持って理解できるようになります。
サプライチェーン(供給網)との違いとITビジネスの特徴
よく混同されるのが「サプライチェーン」です。
こちらは主に「モノ」の流れに注目した言葉。一方でバリューチェーンは「価値」の流れに注目します。
IT業界は形のないサービスを扱うからこそ、どこで付加価値が生まれているのかを意識することが、他の業界以上に大事なんです。
ITビジネスの面白いところは、一度作った仕組みが何度も価値を生み出し続ける点にあります。製造業のように原材料を仕入れて加工するのとは、利益の出方が根本的に違うんですよね。
この「価値の増え方」の違いを理解しておくと、IT企業選びの目も養われますよ。
次は、具体的にどんなプレイヤーがこの連鎖の中にいるのかを深掘りするのがいいです。
IT業界バリューチェーンの仕組み解説:主要プレイヤーと商流の形

IT業界の仕組みを理解しようとすると、ベンダーやSIerといったカタカナ用語に圧倒されがちです。でも、安心してください。
結論から言うと、私はこの読者には、まず「SIerを中心とした商流」から理解することをおすすめします。理由は、日本のIT投資の大部分が今なおこの構造の中にあり、ここを理解すれば業界の8割が見えてくるからです。
もちろん、最近はGAFAのような自社開発企業が目立ちますが、日本企業のシステムを支えているのは、やはり受託開発の連鎖なんです。この「商流の形」を知ることで、自分がどの会社に入ればどんな経験ができるのかが、手に取るように分かるようになりますよ。
上流から下流へ:ITサービスの企画から運用までの流れ
IT業界の仕事は、よく「川の流れ」に例えられます。川上には顧客の経営課題を解決するコンサルティングがあり、川下には実際にシステムを動かす運用・保守があります。
この流れを把握することが、キャリア設計の第一歩になります。
- コンサル(川上)
- 要件定義(川上)
- 設計・開発(川中)
- 運用保守(川下)
この流れに沿って、お金と指示が上から下へと流れていきます。基本的には、上流に近いほど顧客との距離が近く、下流に行くほど技術的な作業に特化していく傾向があるんです。
どちらが良い悪いではなく、自分の適性がどこにあるかを見極めるのが大事ですね。
登場人物の役割:ベンダー、SIer、ユーザー企業の相関図
IT業界には、主に3つの主要プレイヤーがいます。
まずは「ユーザー企業(発注者)」。次にシステムを構築する「SIer(システムインテグレーター)」。
そして、ハードウェアやソフトウェアを教える「ベンダー」です。
この3者がどう関わっているのかを知るのが、バリューチェーン理解の核になります。
ユーザー企業はITで何かを実現したいと考えていますが、自分たちだけでは技術が足りません。
そこでSIerに丸投げ、あるいは協力依頼をします。SIerはベンダーから製品を仕入れ、それらを組み合わせてユーザー企業に最適な形にして納品する。
これが、日本で最も一般的なITビジネスの形です。
IT業界特有の「多重下請け構造」と価値創造のポイント
ここで避けて通れないのが「多重下請け構造」の話です。
大手SIerが受注した案件を、2次請け、3次請けの企業に分割して発注する仕組みですね。ネガティブに語られがちですが、実はこれ、大規模な開発を効率よく進めるための「分業」という側面もあるんです。
ただ、下流に行けば行くほど利益率が下がり、納期が厳しくなるのも事実。自分が今、このピラミッドのどこにいて、どんな価値を提供しているのか。
それを客観的に見る視点がないと、ただ忙しいだけの毎日に疲弊してしまいます。
価値創造のポイントは、どの階層にいても「顧客の課題」を忘れないことです。
月曜朝の満員電車で考える「自分の立ち位置」
たとえば、月曜の朝、通勤電車の中でスマホを見ながら「今日のタスク、何のためにやってるんだっけ?」と思うこと、ありませんか?もしあなたが3次請けの会社でデバッグ作業をしていたら、顧客の顔すら見えないかもしれません。
でも、そのバグを一つ消すことが、最終的にはユーザー企業の業務を止めるリスクを減らしているんです。
自社開発・受託開発・SESによるバリューチェーンの違い
IT業界への入り口は、大きく分けて3つあります。自社サービスを作る「自社開発」、他社から依頼を受ける「受託開発」、そしてエンジニアの技術力を渡す「SES(システムエンジニアリングサービス)」です。
これらはバリューチェーンへの関わり方が全く違います。
受託開発は「納期までに作る」ことが価値になりますが、自社開発は「サービスを成長させる」ことが価値になります。SESは「必要な時に必要な技術を渡す」ことが価値。
候補として「SESは避けるべき」という意見も挙がりますが、未経験から多様な現場を経験できるという理由で、あえて今回は選択肢から外さず、フラットに見るべきだと考えています。
次は、ITビジネスが具体的にどうやって価値を生み出しているのか、5つのプロセスを詳しく見ていきましょう。
ITビジネスの価値を生み出す5つの主要プロセス

ここからは、IT業界がどうやって「何もないところから価値を生み出しているのか」を、5つのステップで解説します。ここは記事の中でも特に熱を入れて書きたい部分です。
なぜなら、このプロセスを理解することが、あなたの「仕事の質」を劇的に変えるからです。
各プロセスには、それぞれ特有の難しさと面白さがあります。
自分がどの工程に一番ワクワクするのか、あるいはどの工程が自分に合っていそうか、想像しながら読んでみてください。
意外と、食わず嫌いしていた工程が魅力的に見えるかもしれませんよ。
1. 戦略策定・コンサルティング:顧客課題から価値を定義する
最初のステップは、顧客が抱える「悩み」を整理することです。ITを導入すること自体が目的ではなく、それを使ってどう売上を上げるか、どうコストを削るかを考えます。
ここがバリューチェーンの出発点であり、最も付加価値が高いとされる領域です。
- 顧客の真の課題発見
- IT投資の費用対効果
- 競合との差別化
- 実現可能なロードマップ
この段階でボタンを掛け違えると、どんなに素晴らしいシステムを作っても「使われないゴミ」になってしまいます。技術力以上に、ビジネスの仕組みを理解する力や、顧客の話を深く聞く力が求められる、すごくやりがいのあるプロセスですね。
2. 要件定義・設計:技術的な実現可能性を構築する
コンサルが決めた「やりたいこと」を、ITの言葉に翻訳するのがこのプロセスです。
どんな機能が必要か、データはどう流れるか。いわば、建物の設計図を作る作業です。
ここがしっかりしていないと、現場のエンジニアは混乱し、プロジェクトは炎上してしまいます。
要件定義は、顧客の「驚くほどのような要望」と、技術的な「現実」の板挟みになるプロセスでもあります。正直、ここはかなり胃が痛くなる仕事です。
でも、バラバラだったパズルが形になっていく瞬間は、設計者ならではの快感があるんですよね。
3. 開発・実装:プログラミングによる具体的な価値の具現化
いよいよ、設計図をもとにコードを書いていく段階です。
ここはエンジニアの技術力が最も光る場所。ただ動けばいいのではなく、後から修正しやすいか、処理速度は十分かなど、プロとしてのこだわりが価値を生みます。
IT業界の「作る楽しさ」が一番詰まっている工程ですね。
最近はノーコードなどのツールも増えていますが、複雑なロジックや大規模なシステムでは、やはりエンジニアによる実装が欠かせません。
自分の書いた一行が、実際にシステムを動かす。
この手触り感こそが、多くの人をIT業界に惹きつける魅力なんです。
深夜のオフィスで出会った「美しいコード」の記憶
以前、納期間際のプロジェクトで、先輩が書いたコードを見たことがあります。
複雑な処理が驚くほどシンプルに整理されていて、まるで芸術品のようでした。
その時、プログラミングは単なる作業ではなく、知的なクリエイティブなんだと実感しました。
そんな「職人技」が価値を生む瞬間が、このプロセスにはあります。
4. 運用・保守:システムの安定稼働と継続的な改善
システムは作って終わりではありません。
リリースしてからが本当の始まりです。
24時間365日、止まることなく動かし続ける。
そして、ユーザーの要望に合わせてアップデートしていく。
このプロセスが、実はバリューチェーンの中で最も長い時間を占めます。
運用・保守は「地味な仕事」と思われがちですが、実は顧客との信頼関係を築く一番のチャンスでもあります。トラブルが起きた時に迅速に対応する、あるいは先回りして改善を提案する。
そうした積み重ねが、次の大きな受注(バリューチェーンの再スタート)につながるんです。
5. 営業・マーケティング:価値を顧客に届け、対価を得る仕組み
どんなに良いシステムを作っても、それが顧客に知られ、買ってもらえなければビジネスとしては成立しません。
IT業界の営業は、ただモノを売るのではなく、顧客と一緒に未来を作る「ソリューション営業」が中心です。マーケティングも、ターゲットとなる企業の悩みを探り当てる重要な役割を担います。
「自分は技術者だから営業は関係ない」と思っている人、いませんか?実はそれ、すごくもったいないんです。営業がどんな苦労をして案件を獲ってきているかを知ると、開発チームとしての連帯感も強まります。
バリューチェーンは、営業から始まって営業に返ってくる円環構造なんですよね。
次は、このバリューチェーンを意識した時に、あなたのキャリアがどう変わるのかを見ていきましょう。
バリューチェーンの視点で読み解くIT業界のキャリア形成
バリューチェーンを理解すると、自分のキャリアを「点」ではなく「線」で捉えられるようになります。自分が今いる場所はどこで、次はどっちに進みたいのか。
それを考えるためのヒントをいくつかお伝えします。正直、ここを知っているかどうかで、5年後の年収や市場価値に大きな差が出ますよ。
以前の私は「プログラミングスキルさえ磨けば、一生安泰だ」と思っていました。
でも、ある時、業界全体の年収データを見て考えが変わりました。
技術力はもちろん大事ですが、それ以上に「バリューチェーンのどこに位置しているか」が、収入や働き方に直結していることに気づいたんです。
今は、技術を武器にしながらも、より上流の視点を持つことが最強の戦略だと考えています。
自分がどのプロセスで価値を提供したいかを考える
まずは、自分が「何に喜びを感じるか」を整理してみてください。
顧客の悩みを解決する戦略立案なのか、それとも黙々とコードを書く実装なのか。
バリューチェーンのどの部分にいる時、あなたは一番「仕事をしている実感」を得られますか?
- 顧客と話すのが好き→上流へ
- モノづくりに没頭したい→スペシャリスト
- 全体を見渡したい→PM
- 安定して支えたい→運用保守
この適性は、実際に働いてみないと分からないことも多いです。
だからこそ、若いうちにバリューチェーンの複数の工程を経験できる環境に身を置くのは、すごく賢い選択だと思います。自分の「得意」がどこにあるか、宝探しをする感覚で仕事に向き合ってみてください。
プロセスごとの収益性の違いと年収・スキルの関係性
身も蓋もない話をすると、バリューチェーンの上流(コンサル・要件定義)の方が、時間あたりの単価は高い傾向にあります。これは、責任の重さと、代替の効きにくさが価格に反映されているからです。
一方で、実装スキルは一度身につければ世界中で通用する「ポータブルスキル」になりやすいというメリットがあります。
年収を上げたいなら、徐々に上流へシフトするか、あるいは実装の極致を目指して「彼にしかできない」と言われる存在になるか。どちらの道を選ぶにしても、自分が今いるプロセスの「相場感」を知っておくことは外せません。
自分のスキルが、バリューチェーンの中でどう換金されているかに気をつけてみてください。
上流工程へのシフトやフルスタックを目指すための戦略
最近よく聞く「フルスタックエンジニア」。これはバリューチェーンの設計から開発、運用まで一人でこなせる人のことです。
もちろんハードルは高いですが、全部の流れが分かっている人は、どんな現場でも重宝されます。
まずは自分の担当工程の「前後」に興味を持つことから始めてみましょう。
たとえば、実装を担当しているなら、その設計図がどんな意図で作られたのかを聞いてみる。
運用を担当しているなら、現場で起きたトラブルを開発チームにフィードバックしてみる。そうやって少しずつ自分の領域を広げていくことが、結果的にバリューチェーン全体を操れる人材への近道になります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)で変化する最新のバリューチェーン
今、IT業界のバリューチェーンは大きな変革期にあります。
これまでは「作って納品」で終わりでしたが、今は「使い続けてもらいながら、データを分析して改善し続ける」というループ型に変わってきています。
SaaS(Software as a Service)の台頭が、この流れを加速させました。
この変化は、エンジニアにとっても大きなチャンスです。
単なる「作業者」ではなく、顧客のビジネスを一緒に育てる「パートナー」としての役割が求められるようになっているからです。
最新の技術トレンドを追うだけでなく、ビジネスモデルがどう変わろうとしているのかにも、ぜひアンテナを張ってみてください。
それでは最後に、これまでの内容を振り返り、あなたが今日からできる一歩を整理しましょう。
まとめ:IT業界の全体像を把握して一歩リードする
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。IT業界のバリューチェーンについて、少しは解像度が上がったでしょうか。
最初は複雑に見えた仕組みも、分解してみれば「誰かの困りごとを技術で解決し、それを支え続ける」というシンプルな連鎖だと分かったはずです。この記事が、あなたのキャリアの迷いを晴らすヒントになれば、それで十分です。
正解は人それぞれだと思います。大手SIerで大規模プロジェクトを動かすのが幸せな人もいれば、スタートアップでバリューチェーンのすべてを一人で回すことに快感を得る人もいます。
大事なのは、全体像を知った上で、自分が納得できる場所を選ぶことです。
最終的にはあなたの判断です。この記事がその材料になれたなら嬉しいです。
バリューチェーンを理解することで見える「仕事の本質」
仕事の本質は、結局のところ「誰かに喜んでもらうこと」に集約されます。バリューチェーンのどの位置にいても、その先には必ず「人」がいます。
自分が書いたコードが、誰かの残業を減らしているかもしれない。自分が提案したシステムが、新しいビジネスを生んでいるかもしれない。
そのつながりを変えるだけで、毎日の仕事の景色は変わります。
「ただの作業」を「価値の創造」に変えられるのは、あなたの視点次第です。
商流を知るということは、自分の仕事に誇りを持つための準備運動のようなもの。
ぜひ、明日からの業務で「これはバリューチェーンのどこに貢献しているんだろう?」と、一瞬だけ考えてみてください。
5分で復習!IT業界商流のチェックリスト
- 上流は課題、下流は実現
- SIerは日本のITの要
- 価値は「連鎖」している
- DXで「循環」に変化
この4点さえ頭の片隅にあれば、業界ニュースや社内の会議での理解度がぐっと深まるはずです。特に「価値が連鎖している」という感覚は、チームで仕事をする上で最強の武器になります。
自分の前後工程を思いやる気持ちが、結果的に最高の結果を生むんですよね。
次のステップ:自社の立ち位置を分析してみよう
最後に、一つだけ提案があります。明日、出社したら(あるいは求人サイトを見たら)、その会社がバリューチェーンのどこに強みを持っているか分析してみてください。
「うちはコンサルに強い受託開発だな」とか「この会社は自社開発だけど運用に課題がありそうだな」といった具合です。
以上です。
正解が一つではない業界だからこそ、自分なりの「地図」を持つことが、あなたを一番遠くまで連れて行ってくれます。何か一つでも、今日の仕事やこれからの就活に役立つヒントが見つかっていれば幸いです。
まずは、気になったことを一つだけ深掘りしてみてください。それだけで十分ですよ。
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