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受験産業の将来性は?AI導入で衰退してしまうのか?テスト採点業者が本音を語る。

個人事業の中の1つとして、高校生向けの模擬試験の採点と、通信教育の添削指導の請負業を営んでいます。担当は国語科です。

仕事内容は、依頼を受けて答案を受け取り、採点・添削して返送するというものです。

採点は模擬試験がある時に限りますが、添削は繁閑のブレはあるものの概ね年間を通じて依頼があります。

受験産業で事業化してからは今年で4年目ですが、仕事自体は大学院生時代から続けていて、8年目となります。この事業の年収はおよそ100万円で、経費はほとんど発生しません

【 受験業界が抱える問題点 】

  • 1枚いくらという形式なので、請け負う枚数=子供の数が減れば収入も減る。
  • 受験制度に依存する。教科が受験科目から撤廃されれば、自動的に仕事消滅する。
  • ほぼ手作業なので、時間効率が良くない。
  • 答案ごとの手間の差は報酬に反映されない
目次

受験産業はAIで需要が減ってしまうのか?

受験産業に関してですが、大学受験という枠組みが存在し、そして試験が全てマークシート化するということが起こらない限りは、とりあえずこの産業への需要が絶えることはないでしょう。

2020年度から現行のセンター試験に代わって実施されることになっている「大学入学共通テスト」の存在は、特に国語科にとっては追い風と言えます。

このテストでは、マーク式の設問に加えて記述式の設問が必須となるためです。

正解が1つに定まらず、書かれる文字も内容も個人によるブレが大きい記述回答では、AIで対応するには膨大な量のサンプルを入力する必要があると考えられます。

こうした機械的に一刀両断し難い分野においては、まだ人間の方に分があり、出番があると言えるでしょう。

社会的にも詰め込み型の暗記教育から思考型の教育へという流れがあるようなので、小論文も含めた記述式の試験が増えるとなれば、その要望に応える教育産業や受験産業においては、人力の採点や添削指導の需要は拡大する方向にあるかと思います。

将来的には紙への手書きではなく、キーボード入力などの手段でデジタル化することは予想されますが、それでもその採点や添削は人間の目と手によることとなるでしょう。

受験制度に依存する限り少子化には左右される

ただ、この仕事の需要は子供の数と受験制度とに依存します。

現状は少子化が進行し、仮に歯止めがかかったとしても急激な反転上昇が起こることはないので、この点では年々縮小していくパイを分け合う、または奪い合う状況になるでしょう。

また受験制度の中での国語科の将来に関して言えば、「大学入学共通テスト」もあって現代文は安泰でしょうが、古文と漢文については楽観はできません。

受験科目から消えるか、消えないまでも縮小していく可能性は、個人的には常に感じているところです。

業界の将来性を考えると、安定した需要の見込める成熟産業ではありますが、大きな成長を予想することは難しいように思います。

質の面で当面AIに取って代わられることはないものの、量の面では逆風があり、人材採用の傾向は間口を大きく広げることなく質の高い人材を奪い合う形となるでしょう。

国語科以外の他の科目でも、大体同様のことが言えるのはないでしょうか?

大学受験という枠組みを超えた仕事が将来につながる

今現在、大学受験と同時にニーズが増えてきたのは、英検、TOEICなどの資格試験の採点業務です。他にも社内試験、プログラミング検定など、様々なところで、資格にまつわる試験が行われています。

このような受験から派生した業務を考えておくことも将来のリスクヘッジになるかもしれません。

テスト採点の事業がAIに奪われないようにすべきこと

第一には採点や添削の質を高めることでしょう。個別に柔軟な対応ができるということが、現状ではAIに対する人間の優位性となるので、そこは徹底していく必要があります。

特に添削指導の場合には、解答に対してどこがどう間違っていて、何が足りないのか、そしてどのように直せばよいのかといった点を懇切丁寧に説明してあげることが求められます。

読点が一切ないために意味のつながりがわかりにくい解答など、一読してよくわからないものにも、ただ0点とするのではなく、可能な限りその意向を汲み取って評価することが仕事です。

こういった点をサービスとして提供していくことが、AIへの対抗となるでしょう。

これは塾や家庭教師でも同様かと思います。

一方で、特に採点の場合には、採点者間のブレを無くして平準化することも重要な点です。

大量の答案の採点となると分担は避けられないため、採点者も数が必要になります。

この人数が増えれば増えるほど個人個人のブレが発生しやすく、そのブレ幅が大きくなれば試験の公平性に疑念を持たれることにつながります。

この対策には、まず採点基準を厳密に定め、そして採点者間で採点基準に対して共通認識を持つことが挙げられるでしょう。

この点を例外の排除という方向で突き詰めていくと「AIでよい」という話になりますが、私の経験上、採点基準の想定を外れながらも完全に不正解とは言えない解答というものは、少なくありません。

さらに付け加えれば、試験問題は基本的に1度限りの使い切りであり、事前に十分な量の解答サンプルを用意することは困難です。

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よって、この仕組み自体がAIの進出を拒むものとなっており、この仕組みが維持される限りにおいて、例外への対処と公平性の確保の両立のためには、採点者同士で話し合いを重ねるという方法を取るしかないということになります。

業界としては、この記述式の筆記試験という受験制度が維持されるように教育行政や大学に働きかけていくことが、AIに対抗して業界を維持していく方策となるのでしょう。

一個人としては、仕事がなくならないように祈る他にないので、あとは質を高める努力を重ねるのみです。

受験業界でも採点業務は将来は安定!

大学院生時代は学費や生活費を稼ぐ手段として、親の介護のために退学してからは時間を柔軟に使える在宅ワークとして、私はこの採点や添削指導という仕事に関わってきました。

頭は使うものの作業自体は単純なもので、締め切りに間に合いさえすれば自宅でどのように進めようが自由なので、

介護などの理由で自由時間が不規則になる人や、あるいは自宅で副業をしたい人にはお勧めできる仕事です。

ただ、問題点としても指摘した通り、完全手作業で場合によっては点数のつけ方に非常に悩む答案もある他、

 

特に添削指導ではかなりの量のコメントを手で書かなければならないこともあるため、単価の割に時間がかかり、時給で見るとあまりよくはありません。

短時間で稼ぎたいという人には向かないでしょう。

この仕事を始めるにあたって、要求されるものは学力だけです。

客観的な指標としては、最低でも大学入学、ハイレベルなものを担当するには大学院入学や教職経験が応募条件になりますが、この仕事に興味を持つ人であれば、多くはクリアしていることでしょう。

入試などで培ってきた学力をそのまま無駄なく活用出来る仕事です。

塾講師や家庭教師のような対面でのコミュニケーションの場面は、せいぜい採点基準の打ち合わせ会議がある程度なので、その辺りに苦手意識を持つ人でも気持ちを楽に取り組めます。

すでに述べた通り、今後も需要が絶えることはないと予測できるので、一度始めれば長く続けていくことができるでしょう。

特にハイレベルな問題に対応出来る人材への需要は極めて高いので、我こそはと思う人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

本業とするには収入が心もとないものの、副業としては十分に一考に値するのではないかと思います。

教職関係の方も体力面での負担が大きいと聞きます・・。採点業務は年齢を問わずそこそこの収入も期待できる仕事ですので、少し考えてみてください。

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