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音楽業界の将来性は?AIでなくなるのか?レコーディングエンジニアが語ります。

初めましてよろしくお願いします。今回は私が30年ほど勤めていた音楽業界がAIとどうかかわっていくのか?そしてどんな仕事や業種が消えてなくなると思うのか、キャリアを活かして真剣に考えてみたいと思います。

【略歴】

  • 20代 レコード会社勤務
  • 30代前半〜50代前半 広告音楽制作会社勤務
  • 現在 フリーランス

【仕事内容】

  • 音楽の録音(レコーディング)
  • 録音後の整音(ミキシング)がメイン
  • スタジオの管理、メインテナンス、営業、
  • スタジオスタッフのマネージメント等々

フリーランスになってからは主に音響機材、設備関連のハードウエアに関する業務にシフトしています。

【 現在の業種の問題点 】

  • 業界全体の売り上げの減少が20年以上続いており、上昇の兆しや打開の対策が見当たらない。
  • 若くて優秀な若者の業界希望者が減少。
  • 創り出される作品の品質の低下。
  • 仕事の発注数の減少により、シニア層の転職者が増え、優秀な人材が他業種へ流出。

などがあります。

目次

音楽業界の仕事ははAIで消えてなくなるのか?

現状、音楽業界は10数年に及ぶ収縮状態で、働く人達の将来性は乏しいというしかありません。特に金銭面に関しては将来性は望めない状態が長く続くでしょう。

今後徐々にAIの影響で関係者や関連会社の仕事が減っていくでしょうが、人が関わる仕事や作品が無くなるというのは、かなり遠い将来においても無いと思います。

音楽は文化の中でも若年層に対してかなり身近な存在であるので、需要はあり続けるでしょう。

レコーディング業界が収縮状態である原因の一つですが、若年層がCDなどのメディアではなく、MP3などのファイルで手軽に音楽を聞けるようになったことで需要自体は増え続けています。

AI自動作曲が音楽業界にどうかかわっていくのか?

音楽業界にAIが与える影響というのは現在はまだ目に見える形では現れていません。

しかしその種は現れ始めています。

AIによる自動作曲サービスが出現し、その品質と対応能力はすでに実用できるレベルに達しています。

BGMのように音楽自体が主役ではない楽曲においては、AIの作る楽曲を採用することでコストや時間を大幅に削減することができます。

ただ他業種に比べるとAIが音楽業界に急速に導入されることはないと思います。

一つの理由は上記のようにこの業界がビジネス的に良い状況では無い事。

AIのような最新のテクノロジーが人に取って代わるレベルにまで開発が進む業界というのは、ビジネス的に潤っているとか将来性が大きく期待されることなどが必要だからです。

また音楽は芸術の一分野なので、AIの参入が認知されづらい業界でもあります。

AIの楽曲に関してAIの作曲と知って聞くのと、知らずに聞くのとで評価に大きな差があるという実験結果が出ています。

これは多くの人が機械で作った芸術作品に対して抵抗を感じていることを示しています。

現状では人間が作曲したものにはそれだけで付加価値があるということです。

また音楽制作には様々な人が関わり、その人数、職種も多種多様です。

人との共同作業はAIにとっての課題ですからそういった制作現場では導入にはいくつもハードルがあります。ただ逆に言うと関係者の少ない、例えば1人や2人で進められる楽曲制作においてAIの導入は早く進むかもしれませんね。

AIに音楽業界の仕事が奪われないようにすべきこと


結論から申しますとレコーディングをはじめ、音楽業界に関しても将来的にはいくつかの職種においてAIにとって代わられてしまうと思います。

それはAIがこの先どんどん進化を続ければ、人がやるのと同等の仕事を短時間、低単価で行える様になるからです。ちなみに個人的な対策を考えたことはありません。

音楽業界にも色んな業種がありますので一部ですが個別に上げてAIとの親和性を考えたいと思います。

【 親和性の高さ 高×、中△、低○ 】

  • プロデュサー(制作責任者)△、ディレクター(現場統括者)△
  • 作編曲家×、作詞家×
  • 演奏家○
  • レコーディングエンジニア(録音○、整音×)
  • マネージメント○
  • コンサート関連スタッフ{PA(ライブ音響)エンジニア、ツアースタッフ}○

プロデューサーやディレクターといった制作管理者は売れる音楽を創るスキルを持っている人以外はAIにとって変わられる可能性があります。

その理由は過去の音楽作品を大量に分析、統計化したAIにクライアントが要求を入力すれば最適な人材をチョイスしてブッキングする、あるいはAI自身が作編曲を含め音源を制作するなどは大きな問題なく可能です。

作編曲家、作詞家はかなり危ないと思われます。

作編曲、作詞は現在でもすでにAIにおいてかなり高水準なものが作られています。将来的にはヒット曲を生み出す様な人以外は職業として成立しない可能性もあります。

演奏は現状でもPCとソフトを使った自動演奏は特別なものでは無いのですが、AIに取って代わられるものでは無いと思います。

アスリートもそうですが機械を使えば完璧にできることでも人間のやる未完成、未成熟な部分があるからこそ意味があります。

また完璧に近づこうとする姿自体が人を感動させるので、とって代わられことは無いです。ただPC等の自動演奏によって仕事が減っている状況ではあります。

レコーディングエンジニアは録音に関してはコミュニケーション能力が大きく問われる職種なので、この部分はAIには難しい分野です。

ただし録音後の整音(ミキシング)はAIが非常に高水準のものを短時間に完成させる可能性があります。

将来的に芸術性の高いミキシングができる様になればこの分野もAIに奪われると思います。

マネージメントおよびコンサート関連スタッフは人との関係性やコミュニケーション、また突発時の対応などAIで置き換えるのが最も難しい職種なので、この辺は将来的にも取って代わられる心配は無いでしょう。

将来音楽業界に入りたい人が持っておくべき知識とスキル


正直、将来性に乏しい業界なのであまりお勧めはしないのですが、アドバイスをするとするなら・・・。

少し逆説的になりますがAIやPC、インターネット、WEBに関する知識を十二分に持つことかと思います。

音楽や作曲、マーケティングなど実務上必要とされる知識はたくさんあるのですが、この先AIを活用する競合他社やその知識に長けたクライアントなどに対峙するとなった場合、そういった知識が不足していては太刀打ちできなくなる未来がすぐにくる思います。

AIはものすごい速さで学習し、過去の音楽作品、音楽理論、音楽市場の知識を持ちます

人間の勉強や努力とは比較になりません。

ですからAIに関する知識、理解を誰にも負けないくらい身に付けてAIを敵ではなく味方にする、それがこれから働く人の最も有効な武器になると思います。

もちろんこれはどの業界にも通づることですが・・・。

音楽業界はかなり特殊な業界で、非常に専門性の高い業種であると言えます。

しかしそのような業界でも10年以上前から新人教育に関しては「スペシャリストではなくプロフェッショナル」と言われてきました。

つまりビジネスを理解し実践できる人材を育成することが、より専門性の高い人材を育成するより有効だ、ということです。

今後はますますその傾向が高くなるでしょう。

正直どのような業界でも、専門性の部分においてトップクラスの実績を積み重ねられる人はほんの一握りです。

それは才能や感性といったその職種に対する適性が豊かな人でなければ成し遂げられませんし、努力や情熱で補えるほど現実社会は甘くはありません。

特別な才能や感性を持ち合わせない大勢の人が業界で頑張り続けるためにこそAIなどのテクノロジーが役に立つと思います。

それらに注視し続け、自分の仕事に役立てるためにはどうすれば良いかを考え、それを実戦できる知識とスキルを持つ人間こそが望む仕事を続けられると思います。

既にwebの知識は最低限のツールです、あなたは今、将来に向けて具体的に何をしていますか?

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