「今の会社、定年までいても大丈夫かな…」ふとした瞬間に、そんな不安が頭をよぎることはありませんか?特にIT業界で働いていると、目の前の技術を追いかけるのに必死で、老後のことまで手が回らないという人は少なくありません。周りの友人が退職金の話をしているのを聞いて、自分の会社の福利厚生を二度見してしまった、なんて経験もあるはずです。
この記事では、将来の安心を左右する「退職金制度」があるIT企業の見分け方を、具体的にお伝えします。すべての人に退職金が必要とは限りませんが、一つの大きな判断基準になるのは間違いありません。
私は”長期的な資産形成”を優先する視点でまとめます。
IT業界の退職金事情と「制度なし」による将来のリスク

IT業界は、他の業種に比べて退職金制度の導入率が低いと言われています。ベンチャー企業やスタートアップが多いこの業界では、退職金として積み立てるよりも、今の給料や開発環境に投資するという考え方が一般的だからです。
でも、いざ自分が40代、50代になったとき、手元に残るお金が「毎月の給料だけ」というのは、なかなかのプレッシャーですよね。まずは、この業界のリアルな現状と、制度がないことで生じるリスクを整理してみるのが近道です。
結論から言うと、将来の不安を最小限にしたいなら、退職金制度がある企業を最優先に選んでください。理由はシンプルで、自分でゼロから老後資金を作るよりも、会社の制度を利用した方が税制面でも積み立て効率でも圧倒的に有利だからです。
迷ったら、まずは制度の有無を確認する癖をつけましょう。
IT企業の退職金導入率は低い?現状と背景を解説
実際のところ、IT業界で退職金制度を整えている企業は、全体の3割から4割程度と言われることが多いです。歴史のある国内SIerや大手企業なら当たり前にある制度も、Web系の自社開発企業などでは「ないのが普通」という空気感がありますよね。
- 離職率の高さ
- 資金の流動性
- 給与への還元
この3つの背景を知っておくと、なぜ多くのIT企業が退職金を持たないのかが見えてきます。特に人材の流動性が高い業界なので、長期雇用を前提とした仕組みが作りにくいんです。
離職率の高さが制度設計を難しくしている側面
エンジニアの世界では、3年から5年でキャリアアップのために転職するのが一般的ですよね。会社側からすると、すぐに辞めてしまう可能性がある社員のために、数十年先を見越した退職金の管理をするのは、かなりコストがかかる作業なんです。
そのため、制度を作る代わりに「今の月給を高く設定する」という判断をする経営者が多いのも、この業界の特徴と言えます。
成長フェーズの企業は投資を優先しがちという事実
特に設立から日が浅い企業や、急成長中のスタートアップでは、手元の現金を退職金の積み立てに回す余裕がありません。それよりも、新しい機材の導入や、優秀な人材を獲得するための広告費、あるいはオフィスの環境整備に資金を使いたいというのが本音です。
将来の社員の老後よりも、今の事業を存続させ、成長させることの方が、会社にとっては死活問題だからですね。
退職金がない場合に生じる生涯賃金の格差と税制面のデメリット
「退職金がない分、給料が高いなら問題ない」と考える人もいますが、実はそこには大きな落とし穴があります。それは、税金の仕組みです。
退職金は、通常の給与に比べて税制面ですごく優遇されているため、同じ金額を「給料」としてもらうのと「退職金」としてもらうのでは、手元に残る金額が大きく変わってきます。
- 所得税の負担
- 住民税の影響
- 社会保険料増
この3つの負担を考えると、額面年収が高くても、退職金がないことによる「見えない損失」は無視できません。将来的に数百万円単位の差が出ることも珍しくないんです。
退職所得控除という強力な節税メリットを逃すリスク
退職金には「退職所得控除」という特別なルールがあります。これは、勤続年数に応じて非課税になる枠が広がる仕組みで、長く働けば働くほど、驚くほど税金が安くなります。
一方で、高い年収として受け取ってしまうと、その分だけ所得税率が上がり、社会保険料の負担も重くなります。結果として、一生涯で自由に使えるお金の総額は、退職金がある人の方が多くなりやすいんです。
自分で貯金し続けることの難しさと強制力の欠如
給料が高いからといって、その増えた分をすべて老後資金として貯蓄に回せる人は、意外と少ないものです。生活レベルが上がってしまったり、急な出費で取り崩してしまったり。
退職金制度は、会社が半強制的にあなたの将来のためにお金をプールしてくれる仕組みなので、自分で管理するのが苦手な人にとっては、これ以上ない「守り」の壁になってくれます。
30代・40代から「退職金制度」の有無が重要視される理由
20代の頃は、スキルアップや年収アップばかりに目が行きがちです。でも、30代後半に差し掛かり、家族ができたり、健康への不安が少しずつ芽生えたりしてくると、急に「出口戦略」が気になり始めます。
定年まで走り抜けられるのか、その後に何が残るのかという問いが、現実味を帯びてくるからです。
- 家族の安心感
- 住宅ローン対策
- メンタル安定
この3つの要素が、中堅層以上のエンジニアにとって退職金を重視する大きな理由になっています。精神的な余裕が、結果として良いパフォーマンスにもつながるんですよね。
ライフイベントが重なる時期に感じる「まとまったお金」の重み
子供の教育費や親の介護、あるいは住宅ローンの繰り上げ返済など、人生の後半には大きな支出が待っています。そのときに、数百万円、あるいは一千万円単位の退職金が入る見込みがあるかどうかで、人生の選択肢の広さが全く変わってきます。
制度がある会社にいるというだけで、将来のキャッシュフロー計算が立てやすくなり、漠然とした不安から解放されるんです。
長期的なキャリア形成への意欲に直結するという側面
退職金制度がある会社は、裏を返せば「社員に長く働いてほしい」というメッセージを発信している会社でもあります。使い捨ての駒ではなく、腰を据えて貢献してほしいという姿勢が制度に現れているんですね。
そうした環境に身を置くことで、エンジニアとしても短期的な成果に一喜一憂せず、深い専門性を磨くことに集中できるというメリットがあります。
IT業界で退職金制度がある企業の見分け方

さて、ここからは本題である「どうやって制度のある企業を見分けるか」という具体的なテクニックに入っていきます。求人票を眺めているだけでは見落としてしまうような、小さなサインが実はたくさん隠されています。
IT業界特有の事情を踏まえつつ、賢い見極め方を身につけましょう。
私は、退職金制度を重視するなら、まず求人票の福利厚生欄で「中退共(中小企業退職金共済)」や「確定拠出年金(企業型DC)」の記載があるかどうかを最優先でチェックすることをおすすめします。理由は、これらは外部の機関を利用した制度であり、会社が倒産しても積み立てたお金が守られる可能性が高い、最も信頼できる仕組みだからです。
求人票の「福利厚生」欄でチェックすべき具体的な項目
求人票の福利厚生欄は、どうしても「社会保険完備」や「交通費支給」といった当たり前の項目に目が行きがちです。でも、退職金に関する記載は、驚くほど控えめに書かれていることが多いんです。
言葉の定義を正しく理解して、宝探しのようにチェックしていきます。
- 退職金制度あり
- 確定拠出年金
- 退職金共済
この3つのキーワードが書かれていれば、第一段階はクリアです。ただ、これだけでは「いくらもらえるのか」「誰が対象なのか」までは分からないので、さらに深掘りが必要です。
「退職金制度あり」の一言だけで安心するのは早い
単に「退職金制度あり」とだけ書かれている場合、それは会社独自の規定からいるケースが多いです。例えば「勤続10年以上」が条件だったり、算出方法がかなり厳しかったりすることもあります。
面接の逆質問で「具体的にはどのような制度を導入されていますか?」と聞く勇気を持つことが、入社後のギャップを防ぐ唯一の方法です。
「確定拠出年金(企業型DC)」の有無が現代的なIT企業のスタンダード
最近のIT企業で最も多いのが、この企業型DCです。会社が掛金を出してくれ、社員が自分で運用先を決める仕組みですね。
これがある企業は、比較的モダンな福利厚生の考え方を持っていると言えます。また、転職時に積み立てた資産を持ち運べる(ポータビリティ)という、エンジニアのキャリア形成にぴったりの特徴もあります。
これがあるかないかは、とても大きな判断材料になりますよ。
企業の設立年数や資本金から読み取れる「制度の安定性」
求人票の内容だけでなく、企業の属性そのものにも注目してみるのが近道です。IT業界といっても、老舗のSIerから昨日できたばかりのベンチャーまで様々です。
一般的に、退職金制度が整っている確率が高い企業のパターンというものが存在します。
- 設立20年以上
- 資本金1億円以上
- 上場企業の関連
この3つの条件に当てはまる企業は、長期的な組織運営を前提としているため、退職金制度が維持されている可能性がぐんと高まります。安定を求めるなら、こうした「土台」の強さは外せません。
老舗企業は「古き良き制度」がそのまま残っているケースが多い
設立から20年、30年と経っているIT企業は、まだ「終身雇用」の空気が残っていた時代に制度を作っています。そのため、今のベンチャーでは考えられないような手厚い退職金規定が維持されていることがあるんです。
派手な技術スタックやキラキラしたオフィスはなくても、こうした「隠れた資産」があるのが老舗企業の強みですね。長く働くメリットが、金銭面で明確に定義されています。
上場企業の子会社やグループ会社は「親会社の制度」に準じている
狙い目なのが、大手企業の子会社です。事業内容はITベンチャーのようにスピード感があっても、福利厚生は親会社と同等のものが適用されているケースがよくあります。
親会社が製造業や金融業などの安定した業界であれば、その手厚い退職金制度をそのまま利用できる可能性があるんです。これはIT業界で働く上で、かなりお得な「いいとこ取り」と言えるかもしれません。
採用サイトのインタビュー記事に隠された「長期雇用」への姿勢
企業のホームページにある採用サイト。ここには人事担当者の「本音」や、会社がどんな人を求めているかのヒントが詰まっています。
退職金という言葉が直接出てこなくても、長期雇用を大切にしているかどうかは、インタビュー記事の端々から読み取れるんです。
- 10年選手の紹介
- ライフイベント支援
- キャリアパス提示
この3つの要素がインタビューで強調されていれば、その会社は社員を長く支える仕組みを持っている可能性が高いです。退職金は、その仕組みの一つに過ぎないからですね。
「勤続年数の長いエンジニア」が顔出しで登場しているか
採用サイトに登場する社員が、入社2〜3年の若手ばかりの会社は要注意です。一方で、入社10年や15年のベテランエンジニアが「なぜこの会社で働き続けているのか」を語っているなら、それは長く働く価値がある証拠です。
退職金制度などの長期的な報酬体系がしっかり機能しているからこそ、彼らはそこにとどまっていると推測できるわけです。
育児や介護との両立について具体的に触れられているか
長期雇用を前提としている会社は、社員の人生に起こる様々な変化に寄り添おうとします。「産休・育休からの復帰率」や「時短勤務の活用例」が具体的に紹介されているなら、それは社員の老後まで含めた生活を視野に入れている証拠です。
そうした文化がある会社なら、退職金制度も「あって当たり前」のインフラとして整備されていることが多いんですよね。
退職金重視のエンジニアが転職活動で押さえるべき3つのポイント

「退職金制度がある会社」を見つけたら、次はそれをどう確実に手に入れるか、そしてその中身が自分に合っているかを見極める段階です。制度の名前だけを聞いて満足してはいけません。
エンジニアとしての転職を成功させるために、絶対に外せない3つのポイントをお伝えします。
正直なところ、退職金があるというだけで飛びつくのは危険です。私は、制度の「中身」と「受給条件」を徹底的に確認することをおすすめします。
せっかく入社しても、自分がもらえる条件を満たせなければ意味がないからです。後悔しないためのチェックポイントを整理しましょう。
ポイント1:退職金の種類(中退共・確定拠出年金・自社制度)を正しく理解する
一口に「退職金」と言っても、実はその仕組みはバラバラです。大きく分けて3つのパターンがありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自分がどのタイプなら安心できるのか、あらかじめイメージを持っておくことが大事です。
- 中退共(社外積立)
- 企業型DC(自己運用)
- 確定給付型(約束額)
この3つの違いを理解しておくだけで、面接での質問の質が劇的に変わります。自分の将来を会社に任せきりにしないための、最初の一歩ですね。
中退共は中小企業エンジニアの強い味方
中小企業退職金共済(中退共)は、国がサポートしている制度です。会社が外部の機関にお金を払い込み、退職時にはその機関から直接あなたにお金が支払われます。
この制度の最大のメリットは、万が一会社が倒産しても、それまで積み立てたお金は確実に守られるという点です。ITベンチャーなどで「会社の将来性に少し不安があるけれど、退職金は欲しい」という場合には、この中退共があるかどうかが決定打になります。
企業型DCは「運用の自由」と「持ち運び」が魅力
最近のトレンドである確定拠出年金(企業型DC)は、会社が拠出してくれる金額を、自分で投資信託などで運用する仕組みです。運用の結果次第で将来もらえる額が増える楽しみがあります。
さらに重要なのが、転職したときにその資産を「iDeCo」などに移して継続できる点です。数年ごとに転職してキャリアアップしていくエンジニアにとっては、最も相性が良い制度と言えるかもしれません。
ただし、運用リスクは自分が負うことになるので、最低限の金融知識は必要ですよ。
ポイント2:中途採用でも「支給対象」になる条件や勤続年数を確認する
ここが最も見落としがちなポイントです。退職金制度があっても、中途入社の社員がすぐに対象になるとは限りません。
また、何年働けばもらえる権利が発生するのかも、会社によって大きく異なります。せっかく頑張って働いたのに、辞めるときに「あなたは対象外です」と言われたら、立ち直れませんよね。
- 最低勤続年数
- 自己都合の減額
- 試用期間の扱い
この3つの条件は、就業規則を読まないと分からないことが多いです。内定をもらった後の条件提示(オファー面談)の場で、必ず確認しておくべき項目です。
「勤続3年以上」が一般的なボーダーライン
多くの企業では、退職金の受給資格を得るために「勤続3年」という条件を設けています。中には「5年以上」という厳しい会社もあります。
IT業界では3年以内に転職することも珍しくないため、この条件を知らずに入社してしまうと、結局一度も退職金を受け取れないままキャリアを終えることになりかねません。自分の想定しているキャリアスパンと、制度の条件が合致しているかは、かなりシビアな問題です。
以前は「全否定」していた短期離職への考え方
以前の私は、退職金をもらわずに辞めるような短期離職は、経済的に大きな損失であり、絶対に避けるべきだと考えていました。でも、多くのエンジニアのキャリア相談に乗る中で、少し考えが変わりました。
きっかけは、ある優秀なエンジニアが「退職金のためにあと2年、今の停滞した環境にいるのは、スキル低下というもっと大きな損失になる」と話していたのを聞いたことです。今は、退職金はあくまで「もらえたらラッキーなボーナス」と捉え、それに縛られすぎてチャンスを逃すのは本末転倒だと考えています。
捨てた選択肢として、「退職金をもらうまで何が何でも辞めない」という極端なこだわりは、今回は外しました。
ポイント3:IT業界に強い転職エージェントから「非公開の内部情報」を得る
求人票や公式サイトの情報には限界があります。本当のところ、その制度がどれくらい機能しているのか、過去に退職した人はいくらくらいもらっているのか。
こうした「生の情報」を持っているのが、IT業界に特化した転職エージェントです。彼らは企業の採用担当者だけでなく、実際にその会社に入社したエンジニアとも繋がっているからです。
- 実際の支給実績
- 制度の評判
- 隠れた優良企業
この3つの情報をエージェントから聞き出すことで、求人票の文字面だけでは分からない「制度のリアル」が見えてきます。自分一人で悩むより、プロの視点を借りるのが近道ですね。
エージェントは「離職者の本音」を知っている
転職エージェントは、その会社を辞めた人のサポートもしています。退職時にトラブルがなかったか、退職金は規定通りにスムーズに支払われたか。
こうした情報は、表の求人サイトには絶対に出てきません。エージェントに「退職金制度を重視しているので、運用実態がしっかりしている会社を教えてほしい」と正直に伝えることで、ハズレを引くリスクを大幅に下げるできます。
非公開求人には「福利厚生重視」の老舗案件が眠っている
あえて公に募集を出さず、エージェント経由だけで採用を行っている企業の中には、かなり手厚い福利厚生を持つ隠れた優良企業が存在します。特にBtoBのシステム開発を長年手がけているような企業は、派手さはないものの、退職金を含めた待遇が驚くほど良いことがあります。
こうした企業にアクセスできるのは、エージェントを利用する大きなメリットの一つです。自分では見つけられなかった「将来の安心」に出会えるかもしれませんよ。
退職金制度がない企業を選ぶ場合の判断基準と対策
どれだけ探しても、自分のやりたい仕事内容と退職金制度が両立しないこともありますよね。特に最新技術を追いかけたい場合、ベンチャー企業を選ぶことは避けられません。
そんなとき、退職金がないことをどう受け止め、どう対策すべきか。ただ諦めるのではなく、戦略的に「制度なし」の企業と付き合う方法を考えましょう。
結論から言うと、退職金がない企業を選ぶなら、その分を「年収」で最低でも100万円以上は上乗せして交渉してください。退職金は後払いの給料のようなものです。
それが今もらえないのであれば、そのリスクを月々の給与でカバーするのは当然の権利だからです。迷ったら、年収の数字をシビアに見てください。
「高年収=退職金込み」と考える際の注意点とシミュレーション
「うちは退職金がない代わりに、年収を高く設定しています」という説明をよく耳にします。一見、合理的ですよね。
でも、これを鵜呑みにするのは少し危険です。先ほども触れた通り、給与として受け取ると税金や社会保険料が引かれるため、額面通りの価値にはならないからです。
実際にどれくらいの差が出るのか、頭の中でシミュレーションしておく必要があります。
- 手取り額の減少
- 貯蓄への強制力
- 昇給率の限界
この3つの壁があるため、「年収が高いからOK」と即断するのは避けましょう。将来のために自分でいくら貯める必要があるのか、逆算する癖をつけたいですね。
毎月5万円を自分で積み立てる場合の「重み」を考える
例えば、将来1,500万円の退職金に相当する額を自分で用意しようと思ったら、30歳から60歳までの30年間、毎月約4万円から5万円を貯金し続ける必要があります。年収が100万円高くても、税金で引かれた後の手取りでこの金額を捻出し続けるのは、意外と大変なことです。
生活費に消えてしまわないよう、入社した瞬間から「先取り貯蓄」を仕組み化する覚悟が求められます。
退職金がないことは「転職の自由」を買っているとも言える
ここで少し視点を変えてみましょう。退職金制度に縛られない働き方には、実はメリットもあります。
上位サイトでは「退職金は絶対にあるべき」という意見が多いですが、私は「条件次第では、ない方がキャリアが身軽になる」と考えています。退職金をもらうために嫌な職場で我慢し続けるくらいなら、最初から給料として受け取り、いつでも次のステップへ踏み出せる状態にしておく方が、エンジニアとしての生存戦略としては正しい場合もあるんです。
要は、その「身軽さ」を自分がどう活用できるか、という問題ですね。
制度がない代わりに「iDeCo」や「企業型DC」の導入有無を確認
会社独自の退職金制度はなくても、国が用意している仕組みを会社が「箱」として提供してくれている場合があります。それが企業型確定拠出年金(企業型DC)です。
これがあるだけでも、自分でiDeCo(個人型確定拠出年金)をやるより有利な条件で資産形成ができることがあります。制度の名前だけにこだわらず、こうした「器」が用意されているかを確認しておくといいです。
- 選択制DCの導入
- iDeCoの併用可否
- マッチング拠出
この3つの仕組みが整っているなら、会社独自の退職金がなくても、自分次第で同じような効果を得ることも可能です。むしろ、運用を自分でコントロールできる分、賢い人にとっては好都合かもしれません。
選択制DCは「手取り」を賢くコントロールできる仕組み
選択制DCとは、給与の一部を積み立てに回すか、そのまま給与として受け取るかを選べる制度です。積み立てに回した分は所得税や社会保険料の対象外になるため、実質的に節税しながら老後資金を作れます。
こうした制度を導入している企業は、社員の資産形成を「自助努力」という形でサポートする意思があると言えます。退職金という形ではなくても、こうした制度を活用できる環境なら、十分に選択肢に入りますね。
マッチング拠出ができるかどうかも大きなチェックポイント
企業型DCがある場合、会社が出してくれる掛金に、自分のお金を上乗せして積み立てられる「マッチング拠出」という仕組みがあります。これを利用すると、自分が出したお金も全額所得控除になるため、すごく効率よくお金を増やせます。
退職金がない企業でも、このマッチング拠出ができるのであれば、実質的には退職金を自分で積み立てているのと同じ、あるいはそれ以上のメリットを享受できるんです。こうした細かい制度の有無が、10年後の資産額に大きな差をつけます。
制度の有無だけでなく「市場価値を高め続けられる環境か」を重視する
究極のことを言えば、ITエンジニアにとって最大の退職金は「どこでも通用するスキル」そのものです。どんなに立派な退職金制度があっても、会社が倒産したり、自分のスキルが陳腐化して転職できなくなったりしては意味がありません。
制度の有無をチェックするのは大事ですが、それが「最優先」になりすぎて、成長の機会を逃していないかは常に自問自答すべきです。
- ぬるま湯環境
- レガシー技術
- スキル停滞
この3つのリスクは、退職金がないことよりも恐ろしいものです。将来の安心は、制度とスキルの両輪で支えるものだと考えてください。
スキルアップが最大の「老後対策」になるという真実
もし、退職金制度はないけれど、最新のクラウド技術やAI開発にどっぷり浸かれる環境があるなら、私はそちらを選ぶのも正解だと思います。そこで得たスキルで年収を200万円上げることができれば、数年で退職金以上の資産を築くことも可能だからです。
エンジニアとしての市場価値を高く保ち続けることこそが、どんな制度よりも確実な「将来の保証」になる。この視点は、絶対に忘れないでくださいね。
以前は「安定こそ正義」だと思っていたけれど
実は、私も以前は「退職金制度のない会社なんて、社員の将来を考えていないブラック企業だ」と決めつけていた時期がありました。でも、最近のインフレや円安、そしてIT業界のあまりに早い変化を目の当たりにして、考えが変わりました。
きっかけは、大手企業で退職金をしっかり積み立てていた知人が、会社の早期退職募集で、スキルが足りずに再就職に苦労している姿を見たことです。今は、退職金制度は「あったら嬉しいボーナス」程度に考え、自分の腕一本で食っていける力を磨くことの方が、結果として本当の安心につながると信じています。
もちろん、両方あるのがベストですけどね。
まとめ:将来の安心を手に入れるためのIT企業選びの極意
IT業界で退職金制度がある企業を探す旅、いかがでしたか?求人票の裏側を読み解き、制度の種類を正しく理解し、自分のキャリアと照らし合わせる。このプロセス自体が、あなたの将来を真剣に考える貴重な時間になったはずです。
退職金は単なる「お金」ではなく、会社からあなたへの「長く一緒に歩もう」という信頼の証でもあります。
正解は人それぞれだと思います。退職金制度に守られて着実に資産を築く道もあれば、制度のない環境で圧倒的なスキルを身につけ、自力で道を切り拓く道もあります。
どちらが正しいということはありません。ただ、この記事でお伝えした見分け方を知っているだけで、あなたの選択肢は以前よりもずっとクリアになったはずです。
まずは1つだけ、気になった求人票の福利厚生欄をじっくり眺めてみてください。それだけで十分です。
自分の将来を自分の手でコントロールし始める、その最初の一歩を応援しています。私の経験がすべてではないので、他の情報も見比べながら、あなたにとって納得のいく答えを見つけてくださいね。
以上です。何か1つでも、将来の安心を築くヒントになっていれば幸いです。




あなたの業界の意見お待ちしています!