「求人を出しても応募が来ない」「内定を出しても辞退される」そんな日々が続いて、胃を痛めていませんか?IT業界の人手不足は、もはや一企業の努力だけではどうにもならないレベルに見えますよね。でも、実は「採れている会社」は確実に存在します。
この記事では、採用難の本当の理由を整理し、明日から取り組める具体的な解決策をまとめました。万人に効く魔法はありませんが、現状を打破するヒントは必ず見つかるはずです。
私は”現場と経営の橋渡し”の視点でまとめます。
IT業界の人手不足が加速する「本当の理由」とは?

なぜ、ここまでエンジニアが足りないのでしょうか。単に「IT化が進んだから」という言葉だけでは片付けられない、根深い構造的な問題がいくつか重なっているんです。
正直、今の状況は異常事態と言ってもいいかもしれません。かつては「35歳定年説」なんて言われていた業界ですが、今は50代、60代のベテランまで引っ張りだこの状態です。
まずは、なぜ需給バランスがここまで崩れてしまったのか、客観的な事実から見ていきましょう。
1. DX化・AI需要の急拡大による圧倒的な需給バランスの崩れ
あらゆる業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が叫ばれ、ITはもはや単なるツールではなく、経営の核になりました。
これが需要を爆発させた最大の要因です。
以前はIT企業だけがエンジニアを奪い合っていましたが、今は銀行も、メーカーも、小売業も、みんなが自社で開発チームを持とうとしています。つまり、ライバルがIT業界の外側にまで無限に広がってしまったわけです。特にAI技術の台頭により、専門知識を持つ人材へのニーズは天井知らずになっています。
- 基幹システムの刷新
- 生成AIの業務活用
- 内製化へのシフト
この3つが重なったことで、市場に出回るエンジニアの数を、企業の求人件数が大幅に上回ってしまいました。特に内製化の動きは、エンジニアの流動性を下げ、採用をより困難にしています。
異業種からの参入が加速する採用市場
例えば、大手製造業が「ソフト中心の会社に生まれ変わる」と宣言して、数百人規模のエンジニア採用を始めるケースが増えています。資金力のある大手が、高額な年俸を提示して市場の若手を根こそぎさらっていく。そんな光景が、あちこちで見られるようになりました。
地方企業まで巻き込まれるグローバルな争奪戦
フルリモートワークが普及したことで、地方の優秀なエンジニアが、東京のメガベンチャーや外資系企業に直接雇用されるようになりました。地域という「壁」がなくなったことで、地方企業も世界レベルの採用競合と戦わなければならなくなったんです。
これは地方の経営者にとって、かなり厳しい現実ですよね。
2. 求められるスキルの高度化と「即戦力」の枯渇
技術の進歩が早すぎて、現場が求めるスキルと、市場にいる人材のスキルがどんどん乖離しています。
いわゆる「スキルギャップ」の問題です。
少し前までは「JavaができればOK」という世界でしたが、今はクラウドの知識も、セキュリティの知見も、モダンなフロントエンドの技術も、すべてセットで求められます。企業側が「即戦力」という言葉を安易に使いすぎていることも、採用難を自ら招いている一因かもしれません。
そんな完璧な超人は、そうそう市場には現れません。
- 技術スタックの多様化
- 開発手法の高速化
- 業務知識の要求増
これらの要因により、理想の人材に出会える確率は極めて低くなっています。特に、新しい技術を自学自習できる層は、すでにどこかの企業に囲い込まれているのが現実です。
特定の言語やフレームワークへの過度な依存
「この言語の経験が3年以上ないとダメ」というガチガチの条件を設けていませんか?実は、優秀なエンジニアほど、言語の壁を軽々と越えていきます。特定のスキルに固執しすぎるあまり、根っこの「地頭の良さ」や「学習意欲」を持つ人材を見逃しているケースは、意外と多いんです。
シニア層のスキルアップデートが追いつかない現状
ベテラン層は豊富な経験を持っていますが、最新のクラウドネイティブな開発環境に対応できていないこともあります。
一方で、若手は最新技術には強いが、大規模システムの設計経験が足りない。この「経験と技術のミスマッチ」が、現場の不満と採用の難しさを助長しています。
3. 少子高齢化に伴う労働人口の減少とIT人材の高齢化
日本全体の問題ですが、IT業界も例外ではありません。
若い世代の人口が減る一方で、現役エンジニアの平均年齢は年々上がっています。
経済産業省の試算でも、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。
これはもはや「努力して採る」というレベルを超えた、物理的な不足です。
また、かつての「きつい、帰れない」といったネガティブなイメージが、いまだに若者の業界流入を阻んでいる側面も否定できません。
- 新卒採用の激化
- 40代以上の層の活用
- 海外人材の受け入れ
若手だけに頼る採用戦略は、すでに限界を迎えています。
これからは、シニア層の再教育や、海外人材の活用を真剣に検討しなければならないフェーズに入っているんです。
労働環境のイメージ改善が追いついていない
IT業界といえば「深夜まで残業」「休日出勤」というイメージを持っている親世代も多いです。これが、子供の進路選択に影響を与えているという話もあります。実際にはホワイトな環境が増えているのに、その情報が正しく伝わっていないのは、業界全体の損失ですよね。
育成コストを嫌う企業のツケが回ってきた
「うちは教育する余裕がないから即戦力しか採らない」という方針を長年続けてきた企業は、今、最も苦労しています。
業界全体で人を育ててこなかった結果、パイの奪い合いだけが激化してしまいました。
今後は、自社で育てる覚悟がない企業から、順に淘汰されていくでしょう。
「なぜ自社だけ採れないのか?」採用難に陥る企業の共通点

世の中が人手不足なのは分かった。でも、隣の会社はエンジニアを増やしているのに、なぜうちは1人も採れないのか。
そう思う瞬間、ありますよね。
結論から言うと、採用難を打破するには「即戦力信仰」を捨てるのが最短ルートです。多くの企業が、市場に存在しない「安くて、若くて、完璧なエンジニア」を探し続けて、時間と広告費を無駄にしています。
まずは、自社の採用活動が「自滅」していないか、冷静に振り返ってみましょう。
1. ターゲット設定のミス:実在しない「理想のエンジニア」を求めている
求人票に書いている条件、盛り込みすぎていませんか?「あれもこれもできる人」を求めると、結果的に誰も応募してこない「幽霊求人」になってしまいます。
例えば「最新のAI開発経験があり、リーダーシップもあって、年収は500万円」といった条件です。これは正直、無理があります。
市場価値を無視した条件設定は、エンジニアから見れば「この会社は市場を知らないんだな」と判断される材料にしかなりません。
まずは条件の「断捨離」が必要です。
- 必須条件を3つに絞る
- 歓迎条件を明確に分ける
- 年俸相場を再調査する
条件を絞ることは、決して妥協ではありません。自社にとって本当に必要な「核」となるスキルを見極める、高度な戦略なんです。ここを外すと、いつまでも採用は成功しません。
スキルセットの「掛け合わせ」が難易度を上げている
「PHPができて、AWSの構築もできて、さらにUIデザインのセンスもある人」といった、異なる職能の掛け合わせを求めていませんか?こうしたマルチな人材は極めて稀で、かつ年収1000万円を超えてもおかしくありません。役割を細分化し、1人ですべてをこなそうとしない設計が大事です。
「自社に馴染む人」という曖昧な基準の罠
面接で「なんとなく社風に合わない」という理由で落としていませんか?この「社風」という言葉が、実は採用の幅を狭めている最大の原因かもしれません。
異質な才能を受け入れる度量がない組織には、新しい風を吹かせる優秀なエンジニアは集まってきません。
2. 採用競合に負けている:給与水準や働き方のアップデート不足
エンジニアが転職先を選ぶ際、最も重視するのは「給与」と「働き方の柔軟性」です。ここが競合に劣っていると、どれだけ熱意を伝えても選ばれません。
特にフルリモートの可否や、副業の容認などは、今のエンジニアにとっては「あって当たり前」のインフラになりつつあります。以前の「出社が基本」というルールに固執していると、それだけで候補者の8割を失っていると考えたほうがいいです。厳しいようですが、これが今のマーケットの現実なんです。
- リモートワークの回数
- フレックス制度の有無
- PCスペック等の開発環境
これらは単なる福利厚生ではなく、エンジニアに対する「敬意」の表れと受け取られます。
古いルールを維持するコストと、採用できない損失、どちらが大きいかは明白ですよね。
給与テーブルの硬直化が優秀な人材を逃す
「既存社員とのバランスがあるから、中途にこれ以上は出せない」という論理。気持ちはわかりますが、それでは一生、市場のトップ層は採れません。
中途採用は「外貨」を稼ぐための投資です。必要であれば、既存の給与体系とは別枠の「スペシャリスト枠」を作るくらいの柔軟性が求められます。
福利厚生が「昭和」のまま止まっていないか
退職金制度や家族手当も大事ですが、今のエンジニアが求めているのは「技術書購入補助」や「カンファレンス参加支援」です。
彼らが大切にしている「成長」を支援する姿勢を見せることが、何よりの魅力付けになります。
3. 選考プロセスの課題:スピード感の欠如と魅力付けの不足
優秀なエンジニアは、転職活動を始めると1週間で数社から内定が出ます。そんな彼らに対して、返信に3日、面接調整に1週間かけていたら、その時点で試合終了です。
また、面接を「品定めする場」と考えている企業も要注意です。今は「企業が選ばれる場」でもあります。
面接官が自社の魅力を語れず、淡々と質問を繰り返すだけでは、候補者の志望度は上がりません。選考プロセス全体を、最高の「顧客体験」として設計し直す必要があります。
- 書類選考は24時間以内
- 面接回数を最大2回に
- 当日・翌日の面接設定
スピードは誠意です。早いレスポンスは「あなたを必要としている」という強いメッセージになります。逆に遅いレスポンスは、どんな美辞麗句よりも雄弁に「優先順位が低いこと」を伝えてしまいます。
現場エンジニアを面接に巻き込めていない
人事担当者だけで面接を完結させていませんか?候補者が一番知りたいのは「一緒に働くメンバーが誰か」です。現場のキーマンが面接に登場し、熱量を持って技術的な話をすること。これが、どんな会社紹介資料よりも心に響くんです。
内定通知書に「期待」が込められているか
内定を出す際、事務的なメール一通で済ませていないでしょうか。なぜあなたなのか、入社後にどんな活躍を期待しているのか。
それを社長や部門長からのメッセージとして添えるだけで、承諾率は劇的に変わります。最後は「人」としての熱意が勝敗を分けます。
IT業界の人手不足を打破する「5つの具体的対策」

ここからは、具体的にどう動くべきかを見ていきましょう。これまでのやり方の延長線上には、解決策はありません。少し「攻め」の姿勢で、採用のあり方そのものをアップデートしないとダメです。
上位サイトの多くは「労働環境を良くしましょう」と優等生的な回答をします。
もちろんそれは大事ですが、私はあえて逆の視点も提案したいです。
それは「自社の厳しさや独特の文化を正直に見せる」こと。
全員に好かれようとするのをやめ、特定の層に深く刺さる「尖った採用」こそが、中小企業の生き残る道だからです。
対策1:要件定義の再考と「ポテンシャル採用」の強化
まずは「即戦力」という言葉を一度封印してみませんか?実務経験が浅くても、基礎的な論理思考力と圧倒的な学習意欲がある層にターゲットを広げるんです。
ITスクールの卒業生や、他職種からエンジニアに転身したばかりの層には、宝の山が眠っています。
彼らは「チャンスをくれた会社」に対してかなり高い忠誠心を持ってくれます。
3ヶ月の集中的な研修コストをかけてでも、自社で育てるほうが、結果的に採用コストも離職率も低く抑えられます。
- 地頭の良さを測るテスト
- 学習の「習慣化」を確認
- メンター制度の整備
この3つがあれば、未経験に近い人材でも半年後には立派な戦力になります。大事なのは「教える」ことではなく「育つ環境を整える」こと。
自走できる仕組みさえあれば、ポテンシャル採用は最強の武器になります。
異業種での「成功体験」を評価する
例えば、営業職でトップ成績を収めていた人がエンジニアに転向した場合、その「目標達成意欲」は開発現場でも必ず活きます。技術は後から教えられますが、本人の性格やマインドセットは変えられません。スキルの有無よりも、過去の「勝ち癖」に注目してみてください。
研修プログラムを「採用コンテンツ」にする
「うちはこれだけ手厚く育てます」というカリキュラムを公開するだけで、意欲の高い若手が集まります。
教育体制があることは、候補者にとって大きな安心材料になります。教育をコストではなく、マーケティングの一環と捉える発想の転換が必要です。
対策2:ダイレクトリクルーティングとリファラル採用の本格導入
「待っていれば応募が来る」時代は終わりました。これからは、企業側から候補者にラブレターを送る「ダイレクトリクルーティング」が主流です。
また、社員の紹介で採用する「リファラル採用」も外せません。自社のことを一番よく知る社員が連れてくる人材は、ミスマッチが少なく、定着率も極めて高いです。
紹介してくれた社員にインセンティブを出すなど、制度として定着させることは外せません。人事が動くのではなく、全社員がリクルーターになるイメージです。
- 紹介報酬制度の明文化
- 定期的な「声かけ」
- 会食費の会社負担
「〇〇さんの知り合いなら安心だ」という信頼の連鎖が、最強の採用ルートになります。ただし、無理強いは禁物。
社員が「自分の会社に友人を呼びたい」と思えるような、誇れる職場であることが大前提です。
スカウトメールは「1通ずつ」丁寧に書く
ダイレクトリクルーティングで一番やってはいけないのが、コピペの大量送信です。
相手のGitHubやポートフォリオを読み込み、「あなたのこのスキルの、ここに惹かれた」と具体的に書く。
その手間にこそ、優秀なエンジニアは心動かされます。
アルムナイ(退職者)ネットワークの活用
一度辞めた社員と縁を切るのはもったいないです。外の世界を見て「やっぱり前の会社が良かった」と思う人は意外と多いもの。
退職者と良好な関係を維持し、いつでも戻ってこれる「出戻り歓迎」の空気を作っておくことも、有効な対策の一つです。
対策3:EVP(従業員価値提案)の言語化と採用ブランディング
「なぜ、他社ではなく自社で働くべきなのか」という問いに、一言で答えられますか?この独自の価値提案を「EVP」と呼びます。
大手のような高年俸は出せなくても、「意思決定が圧倒的に早い」「最新の〇〇技術を実務で使える」といった独自の強みがあるはずです。ここを言語化し、一貫して発信し続けることがブランディングになります。
万人受けを狙わず、「この指とまれ」で集まるファンを作る感覚です。
これが、採用競合との差別化に繋がります。
- 安定志向の人は合わない
- 手取り足取りの教育はない
- 変化を楽しめない人は辛い
このように「合わない人」をあえて明示することで、逆に「これこそ自分の求めていた環境だ」と感じる層を惹きつけることも可能です。上位サイトが勧める「誰にでも優しい会社」のフリをするより、よっぽど誠実で良いです。
現場の「生の声」をオウンドメディアで発信
綺麗なパンフレットよりも、現場のエンジニアが苦労した話や、失敗談のほうが読まれます。飾らない日常を発信することで、入社後のギャップを減らすできます。
ブログやSNSを活用し、会社の「温度感」を伝え続けましょう。
「技術顧問」の存在をアピールする
業界で有名なエンジニアを技術顧問に迎えることは、若手への強い引きになります。「あの人のもとで学べる」という動機は、時に数百万円の年収差を覆します。
外部の権威をうまく活用し、技術的な信頼性を担保するのも賢い戦略です。
対策4:外部リソース(フリーランス・副業・アウトソーシング)の活用
「正社員」にこだわりすぎて、プロジェクトが止まっていませんか?今の時代、優秀な人材ほどフリーランスとして独立したり、副業で複数のプロジェクトに関わったりしています。
彼らを「外注」として扱うのではなく、対等なパートナーとしてチームに迎え入れましょう。副業からスタートして、お互いの相性を確かめた上で正社員登用する「副業からの採用」もとても有効です。まずは「正社員でなければならない」という固定観念を外すことから始めてみてください。
- 即戦力をすぐに確保
- 最新技術の導入が容易
- 採用コストの抑制
外部のプロフェッショナルが入ることで、社内のエンジニアに良い刺激が与えられ、組織全体のレベルアップにも繋がります。週2〜3日の稼働でも、優秀な人のアウトプットは凄まじいものがありますよ。
「捨てた選択肢」:海外エンジニアのフルリモート採用
実は「海外エンジニアのフルリモート採用」も検討しましたが、コミュニケーションコストから見ると今回は除外しました。
時差や言語の壁、文化の違いを乗り越えるには、受け入れ側の体制がかなり整っている必要があるからです。
まずは国内の副業・フリーランス活用を優先し、足腰を鍛えるのが先決だと判断しました。
準委任契約での「チーム型」アウトソーシング
1人ずつ採用するのが大変なら、すでにチームとして完成している外部企業に開発を丸ごと依頼するのも手です。ただし、丸投げは厳禁。自社の社員がディレクションを行い、知見が社内に残るような体制を築くことが、長期的な成長には欠かせません。
対策5:既存社員のリスキリングと離職防止(リテンション)対策
新しい人を採るのと同じくらい、あるいはそれ以上に大事なのが「今いる社員に辞められないこと」です。穴の空いたバケツに水を注いでも意味がありません。
既存社員が新しい技術を学べる「リスキリング」の機会を提供し、彼らの市場価値を高める支援をしましょう。「市場価値が上がったら辞めてしまうのでは?」と心配するかもしれませんが、逆なんです。成長を支援してくれる会社にこそ、人は残ります。
社員のエンゲージメントを高めることが、究極の採用対策です。
- 1on1ミーティングの実施
- 公平な評価制度の構築
- キャリアパスの明示
「自分のことを見てくれている」という実感が、帰属意識を生みます。特にIT業界は隣の芝生が青く見えやすいので、定期的な対話を通じて、不満の芽を早めに摘み取ることがないと始まりません。
「心理的安全」を高めるチーム作り
ミスを責めず、挑戦を称える文化があるか。技術的な議論が活発に行われているか。
こうした「居心地の良さ」は、給与以上にエンジニアを引き留める要因になります。ギスギスした現場からは、優秀な人から順に逃げていきます。
柔軟なキャリアチェンジを容認する
「ずっと開発だけをやっていたい人」もいれば、「マネジメントに興味が出てきた人」もいます。それぞれの志向に合わせたポジションを用意できる柔軟性。これが、長く働いてもらうための秘訣です。
社内での異動が、転職と同じくらいの「ワクワク」を提供できれば最高ですね。
採用難を乗り越えるために:経営層と現場が取り組むべきマインドセット
テクニックだけでは、この荒波は乗り越えられません。
最後は、会社全体の「姿勢」が問われます。
採用は人事の仕事、という考え方は今日で終わりにしましょう。
正直、採用活動はめんどくさいですし、時間も取られます。
でも、会社を成長させるための「最優先の投資」だと思えば、見え方が変わるはずです。経営トップが自ら先頭に立って、採用を楽しむくらいの姿勢を見せてください。
その熱量は、必ず候補者に伝わります。
採用は「人事任せ」にしない。全社一丸となった体制づくり
現場のエンジニアが「忙しいから面接に出たくない」と言っているようでは、採用は成功しません。なぜ人を採るのか、その人が入ることで現場がどう楽になるのかを、しっかり共有しましょう。
理想は、社員全員が自社のファンであり、誰に会っても「うちの会社、いいよ」と言える状態です。人事はそのための環境作りや、ツール提供のサポート役に徹するのがちょうどいいバランスです。全社員が「自分たちの仲間を自分たちで選ぶ」という当事者意識を持つことが、成功への第一歩です。
- 採用状況の全社共有
- 面接官トレーニングの実施
- 現場への権限委譲
現場が「この人と働きたい」と言った人を、経営が信じて採用する。この信頼関係が、採用のスピードと精度を劇的に向上させます。
人事は、現場と経営の橋渡し役に徹してください。
経営トップが「採用」にコミットする
社長自らがスカウトメールを打ったり、最終面接で熱くビジョンを語ったりすること。
これは候補者にとって、何物にも代えがたい「特別感」になります。中小企業こそ、トップの機動力と人間味を最大の武器にすべきです。
現場の負担を減らす「採用業務」の効率化
面接の議事録作成や日程調整など、現場が負担に感じる事務作業は徹底的に自動化・代行しましょう。
現場には「候補者と向き合う」という本当に大事な仕事に集中してもらう。この配慮があるだけで、現場の協力体制はガラリと変わります。
短期的な「確保」ではなく、中長期的な「育成」へのシフト
以前は「とにかく今、人が欲しい」という一心で、スキルのある人を外から買ってくることばかり考えていました。でも、ある調査結果を見てから考えが変わりました。
それは「自社で育った社員のほうが、圧倒的に長期的な貢献度が高い」というデータです。
きっかけは、外部から高給で招いたエースが、半年で他社へ去っていった苦い経験でした。
今は、目先の欠員補充に一喜一憂するのをやめました。
未経験に近い若手をじっくり育て、数年かけてコア人材にしていく。この「育成のサイクル」を回し始めたことで、組織としての底力がついてきたと感じています。
急がば回れ。
これが、採用難に対する最も誠実な回答かもしれません。
- 1年単位の育成計画
- 学習時間の業務内確保
- 外部研修の積極利用
「仕事が忙しくて勉強する時間がない」と言わせない環境作り。これが、育成型組織への第一歩です。
社員の成長を会社の喜びとする。そんな文化が根付けば、人は自然と集まってきます。
「教える側」の評価を正当に行う
後輩を育てた社員が、正当に評価される仕組みになっていますか?「自分の仕事が遅れるから教えたくない」と思わせてはいけません。育成を重要なKPI(重要業績評価指標)に組み込み、組織全体の資産を増やす行為として賞賛しましょう。
「失敗」を許容する文化を醸成する
若手が新しい技術に挑戦し、失敗した時にどう反応するか。そこで頭ごなしに否定せず、「ナイスチャレンジ」と言える空気があるか。
心理的安全性が保たれた環境こそが、エンジニアが最も伸び伸びと成長できる土壌です。
変化し続けるIT市場に合わせた「採用プロセスの高速改善」
一度決めた採用手法が、1年後も通用するとは限りません。
IT市場は常に動いています。
昨日の正解が今日の不正解になることも珍しくありません。
求人票の文言、スカウトの返信率、面接の通過率。これらの数字を細かくチェックし、毎週のように微調整を繰り返しましょう。
「PDCA」を回すスピードこそが、採用の勝敗を分けます。
うまくいかないことを嘆くのではなく、「次はどう変えるか」を考える。この実験的なマインドセットが、採用担当者には求められます。
- 応募から面接までの日数
- 内定承諾率の推移
- 媒体ごとの獲得コスト
数字は嘘をつきません。
どこで候補者が離脱しているのかを可視化すれば、打つべき手は見えてきます。
感覚に頼らず、データから改善を積み重ねていきましょう。
候補者からの「フィードバック」を真摯に受け止める
内定辞退された際、「本当の理由」を聞けていますか?「他社に決まった」という表面的な理由の裏に、自社の選考プロセスの欠陥が隠れているかもしれません。
不採用にした方からも、選考の感想を聞くくらいの姿勢があれば、プロセスはどんどん磨かれていきます。
最新の採用ツールや手法を恐れず試す
「カジュアル面談」や「タレントプール」など、新しい手法はどんどん試してみてください。自社に合うかどうかは、やってみないとわかりません。
失敗しても、それは「この方法はうちに合わない」という貴重なデータになります。
保守的にならず、常に最先端の採用トレンドにアンテナを張っておきましょう。
まとめ
IT業界の人手不足は、これからも続くでしょう。でも、それは裏を返せば、ITの力がそれだけ必要とされているということです。
厳しい環境ではありますが、だからこそ「選ばれる努力」を続けた企業には、素晴らしい未来が待っています。
正解は人それぞれだと思います。ただ、この記事が判断材料の1つになれば、それで十分です。
まずは1つだけ、気になったことを試してみてください。それだけで十分です。
私の経験がすべてではないので、他の情報も見比べてみてくださいね。
最終的にはあなたの判断です。
この記事がその材料になれたなら嬉しいです。以上です。
何か1つでも参考になっていれば幸いです。




あなたの業界の意見お待ちしています!